群馬県桐生市かつて絹産業で栄えたことから、「西の西陣、東の桐生」や 「西の京都 東の桐生」と例えられています。私は「みどり市」を挟んだ西隣の自治体・伊勢崎市に住みながら、桐生市内の街中を歩くことほとんどありませんでした。記憶の範囲では、3年前の68歳まで4,5回程度です。 街中と限定しなければ桐生川源流の渓流遊び、根元山、吾妻山、鳴神山等の桐生市の中低山登山、また子供たちが幼かった頃に訪れた桐ヶ丘公園の遊園地や動物園等、変わったところでは、桐生市で生まれたパソコン通信・渡良瀬ネット(WAN)が賑わっていた頃、「OYKOT」(オイコット、TOKYOの反対)と言うボードの管理人(シグオペ)を任され、全体会議やオフ会で桐生市に通ったことがありますが、この時にも街中を歩くことはありませんでした。 更に変わったところでは(と言いますか、これぞ織物の街「東の京都」たる訪問でしたが)、伊勢崎銘仙の併用絣復活プロジェクト「~いせさき併用絣を紡ぐプロジェクト~」の記録と取材で、プロジェクトリーダーのKaさんに同行して、 群馬県繊維工業試験場(糸の調達や緯糸巻き機借用)や小池染色さん(経糸と緯糸の染色)、馬場信金筬(かねおさ)製作所さん(金筬製作依頼)、琴平整理さん(併用絣製作の最終工程「整理」依頼)を訪れています。 でも、これらを加えても桐生市訪問はせいぜい数十回でした。近そうで遠かった存在の桐生市です。 この少ない訪問頻度を大きく変えたのが、友人Koさんに誘われて訪れた桐生天満宮古民具骨董市。 毎月第一土曜日開催のこの催しに、2018年12月の初訪問以来ほぼ毎月訪れ、同日、桐生市本町通りの両側歩道で開催される桐生楽市(旧楽市茣蓙)との2会場を幾度となく行き来しました。当初の頃は午前6時半頃から午後1時頃までの約6時間、群大工学部構内の駐車場と天満宮、本町通りを行ったり来たり、昼食休憩を除けばほぼ立ちっ放しか歩き通しです。 そんなブラ散歩を飽きずに楽しませてくれたのが両会場の間に挟まれた地区の建物群。詳しい情報は一切知らず、ただただその重厚感溢れる木造家屋と土蔵の建造物に心惹かれ、立ち止まり、カメラに収めていました。 昨年は新型コロナウイルス感染予防のため、骨董市を訪れたのは2回だけ。主催者が中止した月もあったようですが、市外・県外から大勢の客が訪れて密集するので自主的に敬遠した次第です。 Stay homeが望まれるこの機会に、撮り溜めた建造物群の写真を整理し、背景などを調べてみると、この建物群は 桐生新町重要伝統的建造物群保存地区として指定されている地区であることが分かり、心惹かれたことに納得しました。パンフレット「桐生新町の町並み」 によれば、概要は下記の通りです。 ■保存地区の範囲 桐生市本町一丁目および二丁目の全域、並びに天神町一丁目の一部 ■面積 約13.4ha ■保存物件(平成26年3月現在) ●建築物 174棟 ●工作物 171件 ●環境物件(樹木) 8本 上記のうち、国登録物件が6物件、桐生市指定物件が2物件あります。 たくさん写真を撮ったつもりでしたが、今回、当ページで紹介する建物は保存物件全体のせいぜい1/4程度だったようです。本町通りに面していない建物もあるようなので、コロナ感染に対して安全が確認された頃には再び訪れて、撮り足して紹介したいと思っています。 また、資料により調べが済んだ建物もありますが、不明の建物もたくさんあります。それらについても分かり次第追記して記事を更新したいと思っています。今後何年続くか分からない桐生の街中行脚。骨董市見物に街並み見学の目的が加わり、楽しみが倍化しました。(2021年2月3日 記) 令和2年12月23日現在、日本全体の「重要伝統的建造物群保存地区」(略称:重伝建地区)は43道府県101市町村123地区あり、そのうち関東圏では下記6地区あり、うち2地区が群馬県です。 ■茨城:桜川市真壁(在郷町) ■栃木:栃木市嘉右衛門町(在郷町) ■群馬:桐生市桐生新町(製織町) ■群馬:中之条町六合赤岩(山村・養蚕集落) ■埼玉:川越市川越(商家町) ■千葉:香取市佐原(商家町) |
有鄰館の店蔵(左)と店舗(右) 2019/11/2 |
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有鄰館の店蔵(左)と店舗(右) 2019/1/14 有鄰館の煉瓦蔵 2019/1/14 有鄰館の煉瓦蔵 2019/1/14 |
有鄰館の醤油蔵と味噌蔵(左)と酒蔵(右)。後方の木は楠。 2019/5/4 有鄰館の煉瓦蔵と(左)と仕込み蔵(右) 2019/1/14 有鄰館の煉瓦蔵 2019/5/4 有鄰館の煉瓦蔵 2019/7/6 |
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有鄰館の店舗 2019/1/14 有鄰館の煉瓦蔵 2019/5/4 |
有鄰館の構内にある巨大な釜 2019/1/14 有鄰館の煉瓦蔵 2019/5/4 |
平田家住宅 店舗・店蔵 2019/2/2 |
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構造及び形式等:土蔵造2階建、瓦葺、建築面積18㎡ 登録番号:10 - 0200 ※文化庁の登録データベースから引用 |
構造及び形式等:土蔵造2階建、瓦葺、建築面積41㎡ 登録番号:10 - 0199 ※文化庁の登録データベースから引用 |
※文化庁の登録データベースから引用 【登録年月日】2006.11.29(平成18.11.29) 【解説】 本町通りに西面する間口3間半,土蔵造2階建の平入町家。切妻造,桟瓦葺で,表に瓦葺下屋を付ける。1階は土間に改修され,北側の店蔵の戸口前と東面に床板を張る。2階は床構えをもつ10畳座敷がある。白漆喰塗の外壁に2階の重厚な塗戸内面の黒漆喰が映える。 |
平田家住宅 店舗・店蔵 2019/2/2 平田家住宅 店舗・店蔵(ツタに覆われる) 2019/7/6 平田家住宅 店舗・店蔵 2019/5/4 平田家住宅 店舗・店蔵 2019/11/2 |
森合資会社 店蔵・事務所 2021/10/2 森合資会社 店蔵・事務所 2019/2/2 森合資会社 店蔵・事務所 2019/4/4 森合資会社 店蔵の重厚な窓 2019/2/2 森合資会社 事務所 2019/2/2 森合資会社 事務所 2019/2/2 |
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※文化庁の登録データベースから引用 森合資会社店蔵 年代:明治前期(西暦:1868-1911) 構造及び形式等:土蔵造2階建、瓦葺、建築面積82㎡ 登録番号:10 - 0124 登録年月日:2005.07.12(平成17.07.12) 【解説文】 事務所の南に接続する桁行6間,梁間3間規模の土蔵造2階建である。切妻造,桟瓦葺で,街路に面した妻面の1,2階に窓を開き,漆喰塗の両開き戸を吊り込む。外壁は白漆喰塗で,2段の水切を塗出し,腰は石積とする。事務所と共に街路景観の一要素をなす。 |
※文化庁の登録データベースから引用 森合資会社事務所 年代:大正3(西暦:1914) 構造及び形式等:木造平屋建、瓦葺、建築面積76㎡ 登録番号:10 - 0123 登録年月日:2005.07.12(平成17.07.12) 【解説文】 街路に東面する間口4間奥行6間の木造平屋建。正面北寄の玄関上部にペディメントを掲げ,銅板製の軒蛇腹を巡らし,外壁を白化粧煉瓦張とするなど洋風意匠を取り入れる。入口と窓の庇は反りをもち,垂木を見せた和風意匠とする。街路景観のアクセントとなる。 |
中村弥一商店 店舗 2019/7/6 中村弥一商店 店舗 2019/2/2 |
※文化庁の登録データベースから引用 年代:大正11年(西暦:1922) 構造及び形式等:木造2階建、瓦葺、建築面積88㎡ 登録番号:10 - 0136 登録年月日:2005.11.10(平成17.11.10) 【解説文】 本町通に接し,西面して建つ。桁行5間,梁間3間半,桟瓦葺,東西棟の木造2階建で,正面を寄棟造とする。東側以外の3方に半間の下屋を張出す。北側の路地に面する外壁は大壁とし鼠漆喰仕上とする。創建時の店構えを良く残し,織物産業の興隆を伝え貴重。 |
蒲焼 泉新(いずしん)」、創業天保元年(1829年)の鰻店。 2019/5/4 蒲焼 泉新(いずしん)」、創業天保元年(1829年)の鰻店。 2019/2/2 |
こんな和風の宿があれば泊ってみたい 2019/5/4 2019/5/4 |
2019/5/4 白壁の蔵の存在感が印象に残りました 2019/11/2 |
2019/2/2 2019/7/6 側面を見ると蔵造りになっています 2019/11/2 重厚な土蔵の窓枠を更に木材で覆っています 2019/5/4 |
黒い瓦、2階の黒壁と小さな窓、1階の白壁が印象的でした 2019/7/6 2019/2/2 |
間口の長さが2軒分くらいありそう 2019/5/4 2019/7/6 時代劇に出て来そうな家並び 2019/5/4 奥まった場所にも蔵が並んでいます 2019/5/4 |
青いノコギリ屋根の建物。一番奥の屋根の向きがほかと異なっています。 2021/10/2 桐生の産業の歴史を伝えるノコギリ屋根。 壊さずに今なお活用されていることは素晴らしいことです。 2021/10/2 |
大正・昭和の雰囲気が漂う銭湯「一の湯」 2021/10/2 銭湯のシンボル・高い煙突が残されています 2021/10/2 |
■パンフレット「桐生新町の町並み」 作成:桐生市 作成日:平成26年3月(第2版)、 ■パンフレット「桐生市 有鄰館」 作成:有鄰館 ■パンフレット「素敵・体験 桐生まちなか地図」 発行:ファッションタウン桐生推進協議会 2017.08改訂版 ■文化庁ウェブサイト 平田家住宅 旧店舗|平田家住宅 旧店蔵|森合資会社 店蔵|森合資会社 事務所|中村弥一商店 店舗 |