前橋市の東部郊外、赤城山南面の緩やかな勾配を感じる田園地帯。地方自治体の平成大合併までは村だったこの地域は、田園や林ののどかな風景が広がっています。伊勢崎から北へ向かってペダルを踏むと、国道50号を過ぎる頃からは限りなく上り勾配が続き、田畑も緩い段々が付いています。ブロック塀で囲まれた住宅脇を走る時に、南北方向の段数の差を数えると3段から5段の差があって、一軒の敷地で60cm~1mの高低差があることに驚きます。でもそんな高低差のある風景が気に入っていて、目的なく自宅を出る日には、無意識の内にこの辺を走ることが多いです。 今回出会った古民家も、そんな田園地帯の中で広い屋敷林に囲まれて建っていました。屋根に櫓が付いているので一昔前には養蚕農家だったと思われます。耕地整理され南北方向に真っすぐな農道の延長線上、ちょうど遠近法の消失点に建っているのが印象的でした。麦畑と屋敷林の新緑に囲まれ、白とピンクのハナミズキも彩を加えて、絵の中のような風景でした。(2016/5/15 記) |
田園地帯で広い屋敷林に囲まれた古民家(前橋市東部郊外) 2016/4/24 農道の延長線上に建っています。ハナミズキが彩を加えています。 2016/4/24 |
昨年末に国指定史跡・女堀の遺跡巡りサイクリングをしましたが、事前に正確な場所を掴んでから出かけた訳ではなく、「見つかればラッキー」程度のぶらりと気ままなサイクリングだったので、女堀以外にもいくつかの出合いがありました。 今井沼や荒砥川沿いの田園風景、その遠方に控える赤城山、カラスの集団を追い払う鷹の集団、そして今回紹介する養蚕農家などがそれです。 前橋市の東部、荒砥川周辺の一帯には、まだまだ昔ながらの集落が残っていて、その中に広い家屋敷に囲まれた養蚕農家を見かけることがあります。屋根瓦の葺き替え等を施して現在も住まわれている様子ですが、屋根の上に乗った櫓はそのまま残され、養蚕全盛時代の姿を彷彿させます。 視界を遮る物が少ないこれらの集落では、写真に撮ってみると、はるか後方に赤城山や榛名山が横たわっていることに気付き、当時もさることながら、この辺に人が住み始めた頃から、これらの山河を控える風景は変わらなかったのであろうと、心の中に何かゆったりとした想いが流れて行きます。(2013/11/10 記) |
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白壁の蔵と養蚕農家 2013/12/31 広い家屋敷と後方に横たわる赤城山(鍋割山) 2013/12/31 屋敷林に囲まれた一つ櫓の養蚕農家と榛名山 2013/12/30 |
一つ櫓が乗った養蚕農家二棟と榛名山 (左から榛名富士、相馬山、二つ岳)2013/12/31 左の写真の家屋敷部分 2013/12/31 田園地帯に建つ養蚕農家と赤城山(黒桧山) 2013/12/30 |
伊勢崎市の北西部の町に接する前橋市東部の町。平成の大合併で町となったこの地域は、合併前は村でした。赤城山の南麓の緩やかな斜面上に田畑が広がり、等高線を選んだように走る幹線道路沿いには、集落やちょっとした商店街が点在し、晴れた日の夜には前橋市や伊勢崎市の夜景が感動的に美しく、流星群の見学場所探しには困らない広い自然に囲まれた地域です。 そんなこの地域は、ドライブにしろサイクリングにしろ、我が家からも近からず遠からずの距離で、遠足やミニドライブ気分に浸ることができ、たまに訪れますが、幹線道路から引っ込んだ昔ながらの地域をサイクリングすると、養蚕農家に出合うことがあります。 伊勢崎市内に残る養蚕農家ではなかなか見られない規模の広い屋敷林に囲まれ、建物と屋敷林とが一体となった風景を遠くから眺めると、きっとその中の空間には養蚕が盛んな頃の昭和や大正時代が未だに漂っているのだろうと、見ているだけでその時代にタイムスリップしたような気分に浸ることができます。(2013/11/10 記) |
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広い屋敷林と手入れの行き届いた庭木に囲まれた養蚕農家 2013/10/27 |
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小高い地形の立体感に魅力を増します 2013/10/27 |
南側に広がる田畑 2013/10/27 |
こちらも前橋市東部の町。周辺には新興住宅位置もなく、幹線道路からも遠く、未だに昭和が残る昔も今も変わらぬ地域です。南側も東側も伊勢崎市に接し、南側は小高い丘陵地帯に挟まれ、小規模ながら峠があります。伊勢崎市と隣接他市との間に峠道があるのはこの場所だけです。そんな盆地のような地域に残る養蚕農家は、養蚕時代の姿を彷彿とさせる光景としてとても貴重です。(2013/11/10 記) | |
赤城山を背に、広い屋敷林に囲まれた養蚕農家 2013/10/27 赤城山と広い水田地帯、屋敷林に囲まれた集落。右端が養蚕農家。 2013/10/27 |
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大きな庭木と一つ櫓の養蚕農家 2013/10/27 |
養蚕が盛んな頃を彷彿とさせる風景。右端が養蚕農家 2013/10/27 |
白壁がまぶしい土蔵 2013/10/27 |
前橋市の東部地区は今でも田畑が広がり、昔からの集落が点在しています。様々な変遷を経て前橋市に合併した旧木瀬村や旧荒砥村、旧城南村などです。 | |
この辺をぶらりサイクリングしていると、今でも旧養蚕農家に巡り合うことがあります。大半の養蚕農家が解体したり現代建築に建て替えて消えて行く中で、屋根の上の櫓を残し、昔の姿を留めて改修されている姿は、この周辺の養蚕の歴史を伝えるに貴重な存在だけでなく、重厚で落ち着いた雰囲気が漂い、魅力もたっぷりです。 先日、たまたま巡り合ったこちらのお宅では、家主の方と立ち話を交わすことができ、建築は昭和24年、養蚕は年4回(春蚕、夏蚕、秋蚕、晩秋蚕)で、晩々秋蚕のみ行わなかったとのことで、養蚕時期には二階が蚕で埋まったとのことです。 主屋の南西側と南側には別棟、東側には倉庫などもあり、広いお屋敷でした。(2013/9/28 記) |
2013/9/23 |
一つ櫓が乗った、昭和24年建築の養蚕農家 2013/9/23 |
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北関東自動車道の高盛土で南北に分断された前橋市東部の田園地区。高速の南側と神沢川とに挟まれたエリアは、世の中の動きから取り残されたような静かな空気が漂い、昭和時代にタイムスリップしたような気分に浸ることができます。サイクリングの経路として、時々訪れてゆっくりとした時間のスピードを楽しんでいますが、こちらのお宅はそんなエリアの一画に建つ、二つ櫓の乗った養蚕農家です。(2013/9/28 記) | |
北関東自動車道の高盛土と神沢川とに挟まれた静かなエリアに建つ、二つ櫓の乗った養蚕農家 2013/9/12 |
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2013/9/12 |
2013/9/12 |
先週の日曜日、前橋市東部の郊外をサイクリング中、特に当てもなく小路の中を走っていると、大通りから少し奥まったところで突然に大きな養蚕農家に遭遇しました。 全くの予想外の出会いであったこと、間口10間はあろうかと思われる櫓付きの主屋、広い家屋敷や高木の防風林など、驚きの要素が満載で、他人さまのお宅でありながら、その発見は何だか凄く得したような嬉しい気分に浸りました。今なおこれだけ立派に維持保存されて住まわれていること、ご当主の姿勢に敬意を表します。(2013/1/24 記) |
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櫓付きの大きな主屋、高木の防風林 2013/1/20 |
規模の大きな防風林と西側を流れる小川 2013/1/20 |
前橋市の東部郊外の旧農村と新興住宅地が混在するエリアに 櫓付きの養蚕農家造りの建物が建っていました。 2013/1/20 |
前橋市郊外に佇む養蚕農家 2012/12/23 |
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主屋には櫓が付いていませんが、別棟の蚕室と思われる 建物に櫓が付いています(前橋市) 2012/12/23 |
2つ櫓の主屋(前橋市) 2012/12/23 |
総櫓の大きな建物。敷地も広大ですが、現在は廃墟状態になっています。 (前橋市) 2011/4/24 |