10月26日、総務省統計局のウェブサイトで平成27年国勢調査・人口等基本集計結果が公表されました。その関連で群馬県庁のウェブサイトでは群馬県に関する人口が掲載されました。ここでは、これらをグラフ化し、伊勢崎市の位置づけを整理してみました。その結果、伊勢崎市の群馬県内自治体における位置づけは・・・ ■伊勢崎市の人口は4位 ■伊勢崎市の人口増加数は2位 ■伊勢崎市の人口増加率は4位 ■伊勢崎市の外国人人口は1位 となり、伊勢崎市の人口は鈍化しながらも増加傾向を保ち、外国人数が突出している特徴を確認できます。この傾向は太田市と近似していて、これらの項目の順位がすべて隣り合っています。 この背景を推測してみます。 ●赤堀地区の1,352人増、あずま地区の1,113人増を考慮すると、平坦地が多くて市街化調整区域の線引きがなく、地価も比較的安いので住宅地確保が容易。これは線引きが存在する境地区が1,037人減であることからも裏付けられます。 ●県内の近隣自治体への移動が容易な地理的条件。上武道路や東毛広域幹線道路、北関東道、県道2号、国道462号などの幹線道路が整備され、近隣への移動が容易。 ●工業団地が多く、外国人労働者らの雇用機会が多い。 などが考えられます。 ほかに最近気になる状況として、郊外を中心に市内各地に建つサービス付き高齢者住宅のことがあります。入居者が首都圏など市外からの転入者が少なからずいるとのこと。他自治体で現役時代を過ごし、余生を伊勢崎市で過ごすこと、歓迎すべき側面と課題的側面とがあるようです。首都圏周辺の地方自治体が抱える課題です。 推論を含めた私論はさて置いて、まずは数値とグラフで実態をご覧ください。(2016/10/30 記) 対平成22年国勢調査との比較
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人口減少が社会問題となって久しく、特に地方都市から大都市圏への人口移動が懸念され、日本全体で人口が減少し続ける中、東京圏では人口が増え続けています。政治・経済の大半の中枢が東京圏に集中し、雇用や教育・文化・娯楽など、様々な魅力を発信し続ける東京圏に人が流れることは必然の結果と考えられますが、現役世代や若者が流出してしまう地方にとっては由々しき問題です。 ここ数年、東京都民のシニア世代が終の棲家(ついのすみか)として地方へ移住する動きが話題になっていますが、「地方に住んであげる」的な上から目線、また「地方に送り出してしまえ」的な首都圏行政側の姿勢が地方の反感を買っています。地方の本音は、現役から離れて福祉と医療費負担が増えるシニア世代ばかりが増えてもお荷物に過ぎず、単純に人口増ばかりを願っている訳ではありません。 東京大空襲や関東大震災など壊滅状態になっても復興・発展した東京。その底力や魅力は分析し切れませんが、若者や現役世代にとって魅力度が低い地方都市が、東京並みの魅力を備えることは不可能に近く、地方都市が首都圏同様な方向を目指してもいずれ”ミニ東京”で、その努力は報われず、逆に痛々しい事例も少なくありません。 大都市圏と地方都市の逆転の可能性があるとすれば、人々の人生の価値観が変わることくらいしか想像できません。そのことが容易であるかどうかはさて置いて、具体的には・・・ ●交通が不便・・・車ライフを楽しめるし、自宅車庫から目的地まで自由自在、大きな荷物もOK。 梅雨の時期や猛暑日、厳寒日の通勤ラッシュも縁がありません。 ●中・高層ビルが少ない・・・視界が広くて日照権も侵されない。 ●住宅が少ない・・・軒を連ねる大都市の住宅密集地と比べれば、地方の住環境はどこもかしこも高級住宅地。 ●一流が少ない・・・一流を目指す競争社会と比べれば、親近感や安堵感が漂い、ストレスも少な目。 「二番目じゃダメなの?」の議論以前に、そもそも競争しない、闘わない。 ●緑・自然が多い・・・人口的に植栽せずとも緑いっぱい。光合成で酸素もいっぱい。 ●雇用機会が少ない・・・これが肝心で難しい課題。二次産業、三次産業の見直しや新たな仕事を創出し、 若者の起業支援などで対応。 ●賃金が低い・・・これも肝心ですが、地方は物価が安く住居費も安いので我慢のしどころ。 ●農畜産物産業が多い・・・地産地消促進で地方でクローズされた経済サイクルで自己活性。 身近に新鮮な農畜産物を入手できる。家庭菜園は作り放題。 ●高等教育や専門教育機関が少ない・・・若者に取って重要、送り出す地方側も複雑ながら、 今さら地方分散は難しい・・・いい加減なことも言えないので保留。 ●文化娯楽施設が少ない・・・観劇・観覧・アミューズメント・高級グルメ・高級品ショッピングは、日常的なことでは ないので、必要に応じて都会に出かければいい。地方にこれらの施設を建てても、 使用頻度と維持管理費を考えると採算ベースが厳しい。 いかがでしたか? 価値観を変えることは難しく、また一流を目指すことは、多くの場合に人生のモチベーションになるので、これを否定することは前向きでなく、また、圧倒的規模のビルや駅、人混みに埋まり、巨大組織や一流組織で揉まれることは、それ自体が刺激的で活動的なことですが、人生、本当の敵は他人でなく自分自身の中にあることを考えれば、どこにいても自分を磨くことはできます。 「他人は他人、自分は自分」、「都会は都会、地方は地方」の考え方に立ち、相互の良さを認識して、豊かに過ごしたいものです。 さて、前置きが長かったですが、群馬県各市町村別の人口推移を紹介します。元のデータは群馬県統計情報提供システムの住民基本台帳ページに公開されている、各市町村別の10年分のデータです。 【表の各列の説明】 右から3列目・・・2010年〜2015年間の増減数(人) 右から2列目・・・同上の増減率(%)=(2015年人口〜2010年人口)/2015年人口×100 ■色の塗りつぶし・・・増加した自治体 ■色の塗りつぶし・・・減少した自治体 下のグラフはこの表を折れ線グラフで表したものです。 過去5年間の人口増加上位自治体(数と率)は下表のとおりです。
人口の動向として、群馬県内においても、西毛、北毛地区の山岳地域自治体の人口が減少し、中毛、東毛の平坦地自治体の人口が増加しています。 大都市圏と地方都市の人口移動の問題を語りながら、地方の県内においても、その縮図の動向が存在するようです。人は何を求めて移動するのでしょう。そしてこの流れは50年後、100年後にはどのように変化するのでしょうか。 (2015/7/28 記) |