群馬県の山間の町・中之条町がアートの街に変身する、2年に一度のイベント「中之条ビエンナーレ」が先週末9月13日に始まりました。10月14日(月・祝)までの開催です。 第2回目と3回目の2回に亘り友人たちと訪れ、日がな一日、市街地の酒蔵跡地や廃屋、閉店した店舗、工場、また山里の集落や温泉地に展示されたアートに触れ、散歩の疲れと感性の刺激とで心地よい感覚を味わうことができました。加えて、道の駅「たけやま」で美味しいお蕎麦をいただき、四万温泉エリアで無料温泉に浸かり、中之条町街中のふるさと交流センター「つむじ」でのコーヒーブレイクなど、アート見物の他にもたっぷりと旅気分を味あわせてくれる中之条ビエンナーレ、今回もまた訪れてみようと気にかけていたところでした。 過去2回の会期を確認してみると、第2回目が8/22~9/23の32日間、第3回目が8/20~10/2の43日間、そして今回が9/13~10/14の31日間です。今までは夏のお盆明け頃の開始でしたが、今回はおよそ3週間ずらしての開始です。ここ数年、猛暑の夏が続いているので、涼しくなってからの開始は大歓迎です。 中之条ビエンナーレの公式サイト(http://nakanojo-biennale.com/)で調べると、今回の会場は中之条町町内6エリア37ヶ所、参加アーティスト数 113組(7月18日現在)です。
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中之条ビエンナーレ・6エリア37ヶ所の会場 →各会場の詳細マップ(中之条ビエンナーレ公式サイトから)(A3版:PDFファイル1.8MB) |
「中之条ビエンナーレ2013」の最初の訪問は9月20日。「最初の」と付け加えたのは、今回の開催は前回に比べてエリアが増え、一日では間違いなく回り切れないからです。案の定、この日も足を棒のようにして歩き回りましたが、結局見学できたのは伊勢町エリアと伊参エリア、それと四万エリアのごく一部のみ。2回目があるかどうか未定ですが、まずは、伊勢町エリアの様子をご覧ください。車でおでかけの場合、駐車場は「つむじ」か「SATORI」の東側、あるいは中之条町役場がお薦めです。 今回の伊勢町エリアは、旧廣盛(ひろざかり)酒造にたくさんのアートが展示されたのは前回同様ですが、前回の閉鎖パチンコ店や木材工場などの展示会場はなく、代わりに旧コンビニ店や林昌寺前の空き地などが増えました。伊勢町エリアの9会場間の距離は、近そうで遠く、遠そうで近く、一旦車に戻るか歩き続けるか悩む距離。他の来場者を見ると、大半の人が徒歩で回っているので、運動を兼ねて私らも徒歩での見学。これが結構足腰に響いて、足の裏はジンジン、ふくらはぎはパンパン、いい運動になりました。これが、一ヶ所の美術館見学と異なる、中之条ビエンナーレの体育会系面白さです。 なお、今回はガイドブック(¥500)とスタンプラリーシート付きのパスポート券(¥1,000)が必要です。パスポート券は期間中、何度でも有効です。(2013/9/25 記) 中之条伊勢町エリアの会場地図 |
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【6】つむじ・tsumuji・ふるさと交流センター |
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つむじ。屋根もつむじ。 つむじの広場 |
[11]つむじの円形ホールの天井から下げられた薄い透明な布地のアート [13]様々な大きさの木の豆 これは作品ではなさそうですが 面白かったので撮りました。 |
[10]「拝啓 ジョンレノン」 地中から不発弾でも出て来たのかと 思ったら、これもアートでした。 [13]足湯の脇に置かれたアート |
【7】SATORI |
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[15]「Tell me the truth」 和室が不思議空間に |
今にも飛び付きそうなヒョウは、 多分前回のビエンナーレの作品 |
[16]「空き地」 本当にタダの空き地があるだけ。 [17]「a stake in the river」 蔵の2階に設けられた展示室。 中は真っ暗。やがて目が慣れると 見えて来る映像。 |
【8】旧廣盛酒造 |
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入口 →案内を拡大 [19] [20] [21]今にもジャンプしそうな猫ちゃん [21] |
[19]「庭とする」 壁一面に掛けられた大きな作品 [19]壁一面の大作 [21]「雨のあとの狩り」 スピード感溢れる作品 |
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[22]「赤の庵」 鑑賞に訪れた人が、荷札に思い思いの言葉を記して、赤い糸に付け、それがアートの一部になります。 [23]「ビフレスト -橋-」 暗闇に架けられた橋。 目が慣れると浮かび上がって来ます。 |
[26] [26]「gold experience」 [27]「彫りダシモノ」 和室にぶら下げられた 柔らかい形状の彫り物 |
[18]「その、ときの、ひかり」 [24] [24]「Parallaxes view」 [25]「葉脈のカーテン」 |
蔵の分厚いドア [28]部屋に漂うチョコレートの匂い。 作品の足元を見ると、チョコレート。 |
旧廣盛酒造の蔵 |
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[28]溶かしたチョコレートで作った世界。海底に沈んだ物体のよう。 |
【1】通運ビル、【2】旧コンビニ、【5】かねんて倉庫 |
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[2]床と壁に描かれた線 [3]中之条の風景写真の展示 |
閉店したコンビニが 参画型のアート工房に。 [4]この部屋を訪れた人は、色々な素材を使って自由に絵や文字を描きます。 |
[8]倉庫の中に、四角い部屋。 中を覗けば、 半透明のプラスチック素材を使用した、 雲海のような、 波のような 複雑な模様。 |
【4】林昌寺前 |
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林昌寺のしだれ桜 しだれ桜の案内板 |
林昌寺本殿 [6]木の部屋。部屋に入れば・・・ |
[6]光を遮った部屋の中、 しばらくする内に目が慣れて やがて見えて来るかすかな形 |
【9】近藤公園 |
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[29]近藤公園に設置されたテントハウス |
[29]中を覗けば新聞を重ねた壁 |
公園の隅には巨大なお蚕さんの絵 |
近藤公園からの眺望。黄色の稲穂、蛇行する川、川沿いの公園、いい眺めです。 |
街中で見かけた風景 |
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Atelier N 街中のトイレと休憩エリア |
シャッターに書かれた絵 |
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街中で見かけた歴史を感じさせる 木造家屋 柳家旅館 |
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町田家住宅 |
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案内板 →案内板を拡大表示 |
登録有形文化財・町田家住宅 |
中之条町伊勢町エリアの後訪れたのは伊参(いさま)エリア。伊勢町エリアの「つむじ」から【10】道の駅「霊山たけやま」まで、車で7分程度。 以降、群馬県道53号・中之条湯河原線を北上すれば、道沿いに【11】「JAあがつま倉庫」と【12】「伊参スタジオ」があります。「伊参スタジオ」の後は再び県道53号を北上し、途中、四万温泉への分岐(T字路)を左折して【13】~【16】の会場へ。【13】~【16】は近接しているので徒歩圏ですが、他の会場間の移動は車がないと厳しいでしょう。 伊参エリアで最も多く作品が展示されているのは、映画「眠る男」と「月とキャベツ」のロケで有名な伊参スタジオ。36番~56番の21作品が、教室や体育館、廊下などに展示されています。 伊参エリアの他の会場は倉庫や古民家、住宅などを丸々利用したものや、屋外に展示されたものが多く、NHKテレビで紹介された会場(岩本上古民家)も含まれています。 |
伊参(いさま)エリアの会場地図 |
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【10】道の駅「霊山たけやま」 |
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[32]空き家の壁に展示されたアート [32]空き家の壁から 吊り下げられたアート |
[31]新聞紙に描かれたアート |
[30]「たけやま Night」・・・茶室が会場 [31]新聞紙に描かれたアート |
[31]新聞紙に描かれたアート [32]空き家の床に展示されたアート |
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親都神社の大ケヤキの根元 大ケヤキの説明板 |
[33]「跡 2013」 親都神社境内に展示された 石の作品。 木立に囲まれた空間に、 更に静謐感が満ちます。 親都は「ちかと」と読みます。 |
親都神社の大ケヤキ 親都神社境内の拝殿 |
【11】JAあがつま倉庫 |
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[35]「見えない記憶」 倉庫の天井から垂れる布のアート |
[34]「慧」 道路脇の空き地を木の塀で囲い、その中に庭園を造り、 廃車が「何か」を伝えるモニュメントのように立っています。 |
【12】伊参スタジオ |
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[36]「合戦」 [36]「合戦」 |
[36]「合戦」・・・ゲームに登場するような女性の刺客がモチーフ |
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→の作品は[37]「frog floor」 映画のセットで使用されたと思われる和室の中に、たくさんの蛙が並んでいます。 |
[37]「frog floor」 |
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[45]「窓の記憶」 体育館のステージには映画「眠る男」で使用された巨大な山が描かれています。その前に、様々な「窓」が映し出され、過去の記憶を伝えています。 [39]「時灯」 不思議な絵や模様が、 僅かの明かりに照らされています。 [43]「PIXEL WORKS」 題名の通り、デジタル画像の1ピクセルが巨大な大きさで表現され、微妙な色が塗られ、アナログ素材の黒板やオルガン、教室の壁を覆っています。 [51]「成仏の間」・・・かつて「眠る男」で使用された八角形の木造建物。普段は廃墟のような姿ですが、その室内にたくさんの蓮が浮かび、明るく幽玄の世界へ誘ってくれます。 |
[45]「窓の記憶」 [39]「時灯」 [43]「PIXEL WORKS」 [51]「成仏の間」 |
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[38]「光の触角」 旧伊参中の階段、踊り場、廊下に展示された、たくさんの木と、大中小様々な大きさのまぁるい彫刻。 [41]「光の影」 [41]「光の影」・・・ほんの僅かな光に照らされた箱の中の作品。良く見ると、映像が見えて来ます。 |
[40]「空の下で」・・・富士山のような山 [38]「光の触角」 [42]「to infinity and beyond」 離陸から空に飛び立つ旅客機。 どこまで飛んで行くのでしょう。 |
[40]「空の下で」 黒板に白墨で描かれた空。その下に、 白墨の粉で造られた街や山々。 [38]「光の触角」 [42]「to infinity and beyond」 |
[55]「Honeycomb room」 太い木の幹に造られた蜂の巣部屋 [56]「daydream believer」・・・森に横たわる巨大な緑の蛙 |
[53]「時間」 油面に浮かぶたくさんの人 [53]「時間」・・・油面を壊れかけた扇風機が微妙に揺らします。 [50]「armonia 倒木更新」 ・・・倒木が次の命を育てる様 |
[52]「目覚めの家」・・・紙を剥がされた障子が新たに組み合わされて、別の空間を創り出しています。 [52]「目覚めの家」 [52]「目覚めの家」・・・庭に並ぶほうき |
旧伊参村立伊参中学校、後に 中之条町立第四中学校の碑 |
会場となった旧伊参村立伊参中学校、後に中之条町立第四中学校 |
【13】岩本上古民家 |
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【13】岩本上古民家~【16】岩本稚蚕飼育所の地図 |
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[57]「こずえが世界と出会うところ」 天井に浮かぶ水、光を通す小さな穴 [57]「こずえが世界と出会うところ」 |
[57]「こずえが世界と出会うところ」 天井に穴が空き、大きな木が逆さに吊り下げられ、太陽の光に輝きます。 NHKテレビでも紹介された2つの作品。 |
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【14】やませ |
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[64]「中之条気象台」 [64]「中之条気象台」 神保家の書院(離れ)に展示された作品。水が入ったたくさんのビニール袋がぶら下がっています。 |
[63]「キゴヤの詩」 木の小屋に造られた作品 |
[58]「三十三畳の世界から」 広い和室に浮かぶ糸状作品 [59]「朧」・・・雲のような絹糸のような |
整列して座敷を埋めるたくさんの照明器具 |
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神保家カシグネ 中之条町指定重要文化財 神保家の説明板 神保家の門 |
神保家玄関 |
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廊下と座敷の間にも、 一間幅の畳の間があります。 |
YAMASE CAFE |
【15】岩本上組集会所、【16】岩本稚蚕飼育所 |
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[65]「名前をつけよ」 |
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[66]「place/hole」・・・色々なボトル [66]「place/hole」・・・ビール瓶の作品 [66]「place/hole」・・・ブリキの作品 |
[66]「place/hole」・・・部屋の中を埋める枯れ木 会場へ向かう道からの風景。 黄金色の稲穂、遠くの山々や森、急な斜面に散在する民家。 |