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いせさき併用絣を紡ぐプロジェクト

緯糸(よこいと)の捺染加工

動画
掲載日:2016/8/3
■日時:2016年(平成28年)6月20日ほか
■場所:石井捺染(なっせん)さんの捺染工場
■制作者:石井広実さん、石井茂夫さん
■内容:併用絣3図案の緯糸(よこいと)の捺染加工。動画では3図案のうち「ツツジ」を紹介。
 緯糸の捺染加工とは、木の板に巻かれた緯糸(→緯糸の板巻き)の表面と裏面に、型紙を使用して色を染めて行く作業のことです。経糸の捺染は糸が縦方向に連続的につながっているので、型紙の両端部で図柄を合わせて捺染しますが、緯糸の捺染は板の単位で捺染するので、図柄は板と型紙の端部センターに開けられた小さな穴で合わせます。

 手順は下記の通りです。
(1)経糸の捺染で使用した捺染台に、板の長手方向の間隔で木箱を並べる

(2)(1)の木箱の上に、板に巻かれた緯糸を置く
   ※今回の「ツツジ」図柄に対して並べたのは28枚。一反で約4枚半使用するので6反分です。

(3)緯糸の表面を一色目から順次捺染する
   ※今回の「ツツジ」図柄で使用したのは6色。
    捺染作業中に注意することは、型紙と板の位置合わせや染料が糸の下まで浸透しているかの確認、型紙にゴミ
   が付着していないか、型紙の紗がはがれていないか、塗りにムラがないかなど様々な事柄です。
    道具に関しては、経糸の捺染にはヘラを使用しましたが、緯糸では刷毛を使用。

(4)表面の緯糸捺染を完了後、染料の乾きを確認し、板をひっくり返す
   ※今回、お昼休憩の時間を乾燥時間に充てました。

(5)裏面の緯糸を表面同様に捺染する
    使用する表と裏の型紙は鏡像関係にあります。今回、緯糸用型紙として表用と裏用との2枚を準備しましたが
   (*1)、併用絣の生産が盛んだった当時は1枚を準備して、裏返して使用したことが多かったとのこと。

(6)板を集める
    表裏両面の捺染を終えた緯糸の板を集めます。積み重ねられた緯糸の側面(これを「耳」と呼んでいます)は、
   あらかじめ別の色で捺染しておきます。「耳」は製織作業で経糸と緯糸を合わせ易くするためで、色は図柄で使用
   していない色を選びます。

(7)板を取り外す
    板を取り外すには、板の両サイドの留め金具を外し、板を半分に分解して(*2)、引っこ抜きます。
    今回、長い間使用していなかったため、板の留め金具が錆びついて、外し難くなっていました。

(8)束ねる
    板を取り外して新聞紙に巻かれたままの緯糸を、間に新聞紙を挟んで8、9枚重ね、紐で軽く結わえます。後続
   工程の「蒸熱」はこの束のまま行います。

(*1)2枚の型紙を重ねて彫ります(→緯糸(よこいと)用の型紙彫り)。
(*2)板は2枚組。接続面はセンターを避けて、一方の幅が広く、もう一方が狭くなっています。
    接続面はR加工されたオスメス構造で、外し易くなっています。


取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2016/8/3 記

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ツツジ」の緯糸の捺染加工


「ツツジ」の捺染加工。石井捺染さん(7分3秒) 2016/6/20


「ツツジ」5色目を捺染する石井茂夫さん 2016/6/20

「ツツジ」6色目を捺染する石井広実さん 2016/6/20

捺染を完了し、積み重ねられた緯糸 2016/6/21

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