■日時:2016年(平成28年)6月20日ほか ■場所:石井捺染(なっせん)さんの捺染工場 ■制作者:石井広実さん、石井茂夫さん ■内容:併用絣3図案の緯糸(よこいと)の捺染加工。動画では3図案のうち「ツツジ」を紹介。 緯糸の捺染加工とは、木の板に巻かれた緯糸(→緯糸の板巻き)の表面と裏面に、型紙を使用して色を染めて行く作業のことです。経糸の捺染は糸が縦方向に連続的につながっているので、型紙の両端部で図柄を合わせて捺染しますが、緯糸の捺染は板の単位で捺染するので、図柄は板と型紙の端部センターに開けられた小さな穴で合わせます。 手順は下記の通りです。 (1)経糸の捺染で使用した捺染台に、板の長手方向の間隔で木箱を並べる (2)(1)の木箱の上に、板に巻かれた緯糸を置く ※今回の「ツツジ」図柄に対して並べたのは28枚。一反で約4枚半使用するので6反分です。 (3)緯糸の表面を一色目から順次捺染する ※今回の「ツツジ」図柄で使用したのは6色。 捺染作業中に注意することは、型紙と板の位置合わせや染料が糸の下まで浸透しているかの確認、型紙にゴミ が付着していないか、型紙の紗がはがれていないか、塗りにムラがないかなど様々な事柄です。 道具に関しては、経糸の捺染にはヘラを使用しましたが、緯糸では刷毛を使用。 (4)表面の緯糸捺染を完了後、染料の乾きを確認し、板をひっくり返す ※今回、お昼休憩の時間を乾燥時間に充てました。 (5)裏面の緯糸を表面同様に捺染する 使用する表と裏の型紙は鏡像関係にあります。今回、緯糸用型紙として表用と裏用との2枚を準備しましたが (*1)、併用絣の生産が盛んだった当時は1枚を準備して、裏返して使用したことが多かったとのこと。 (6)板を集める 表裏両面の捺染を終えた緯糸の板を集めます。積み重ねられた緯糸の側面(これを「耳」と呼んでいます)は、 あらかじめ別の色で捺染しておきます。「耳」は製織作業で経糸と緯糸を合わせ易くするためで、色は図柄で使用 していない色を選びます。 (7)板を取り外す 板を取り外すには、板の両サイドの留め金具を外し、板を半分に分解して(*2)、引っこ抜きます。 今回、長い間使用していなかったため、板の留め金具が錆びついて、外し難くなっていました。 (8)束ねる 板を取り外して新聞紙に巻かれたままの緯糸を、間に新聞紙を挟んで8、9枚重ね、紐で軽く結わえます。後続 工程の「蒸熱」はこの束のまま行います。 (*1)2枚の型紙を重ねて彫ります(→緯糸(よこいと)用の型紙彫り)。 (*2)板は2枚組。接続面はセンターを避けて、一方の幅が広く、もう一方が狭くなっています。 接続面はR加工されたオスメス構造で、外し易くなっています。 取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2016/8/3 記
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「ツツジ」の緯糸の捺染加工「ツツジ」の捺染加工。石井捺染さん(7分3秒) 2016/6/20 「ツツジ」5色目を捺染する石井茂夫さん 2016/6/20 「ツツジ」6色目を捺染する石井広実さん 2016/6/20 捺染を完了し、積み重ねられた緯糸 2016/6/21 |