1.前立腺がん検診履歴|2.精密検査|3.生検|4.生検結果とその後の検査|5.手術・入院 6.手術結果(病理結果、神経温存状況)|7.手術後の経過(各部位の痛み、尿漏れパッドの使用推移) 8.骨盤底筋体操|9.尿道カテーテルの痛みと原因|10.術後心配される病気・リンパ浮腫|11.地域医療連携 |
PSA検査(1)PSA(前立腺特異抗原、Prostate Specific Antigen)PSAは前立腺で作られるタンパク質で、がんや炎症、圧迫、外傷、肥大症などにより前立腺組織が壊れると、PSAが血液中に漏れ出し、増加します。PSA値は採血で測定し、前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられています。PSAの基準値は一般的には0~4ng/mLとされていますが、年齢によって基準値を下げる場合もあり、伊勢崎市の健康診断資料によれば、下表のように定められています。
(2)PSA値と前立腺がんとの関連伊勢崎市民病院の「前立腺システム生検」の資料によれば、 PSAとがん罹患率の関係は下記の通りです。
(3)伊勢崎市の検診資料による前立腺がん発見率
以下は仮定です。 要精密検査者884人が全員精密検査を受診したとすると、884人×11.2%=99人が前立腺がんを罹患 全受診者10,313人に対する前立腺がん罹患率は・・・99人/10,313人=0.96%(約1%) 以上のことから、 全受診者に対して、100人に1人が前立腺がんを罹患していることになり、私の場合、その100人に1人に該当してしまった次第です。下表に、私の過去の伊勢崎市がん検診によるPSA値の履歴を示します。H17年からH29年までは2.0以下で上下し、H30年とR3年に一挙に上がり、R4年には4.02と、ギリギリ基準値内でした。この傾向では昨年(R5年)の検診は基準を超えるかも知れないと、不安な気持ちで受診しましたが、案の定、基準値を超えて要精密検査の診断結果を受け取りました。 その後、精密検査から生検、手術と続くことになりましたが、それらは次項以降で紹介します。(2024/1/31 記)
年齢とPSAの推移 →前立腺がんについて(国立がん研究センター) |
2024年8月7日に受けた伊勢崎市がん検診でPSA値が基準値を超え、要精密検査の診断結果を受け取りましたが、一緒に受け取った資料に「精密検査実施医療機関」として、市内の泌尿器専門クリニック一院と伊勢崎市民病院が紹介されていました。がんと診断されて手術になる場合を想定し、伊勢崎市民病院に決め、以下順次精密検査を受けることになりました。(2024/2/7 記)2023/8/29(火)
2023/9/22(金) PSAに加えて、新たな腫瘍マーカー PHi を検査
2023/10/18(水)
2023/11/2(木)
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前項「2.精密検査(生検まで)」の9月22日の診察で、生検を受ける診断が下されました。診断後も血液検査、尿検査、胸部レントゲン、MRI 撮影、コロナウイルススクリーニング等の検査を受けて、生検に臨みました。 生検は一泊入院の初日に実施し、2日目の朝、残尿検査やほかの異常がなかったので午前10時には退院できました。採取した前立腺内の組織は病理専門医が見て、結果は2週間後の外来診察で伝えられます。以下、生検の様子です。(2024/2/13 記) 【病名】 前立腺癌の疑い 【検査の内容】 前立腺システム生検 2023/11/6(月) 入院日
2023/11/7(火) 退院日
2023/11/8(水) 生検後2日目
2023/11/9(木) 生検後3日目
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2023/11/20(月) 生検結果とリンパ腺への転移検査
2023/11/24(金) 骨への転移検査
2024/1/10(水) 前立腺がん手術前の諸検査
2024/1/19(金) コロナウイルススクリーニングと診察
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前立腺がん疑いのために、生検を始めとする様々な検査を受け、その結果、前立腺がんが確認されました。
【病名】 前立腺癌 【病態】 癌は転移がなく前立腺内に限局している 前立腺がんの主な治療法には、下記の方法があります。 ・監視療法(初期段階のケースですぐに手術を行わず、経過観察後に治療を開始) ・外科治療(摘出手術) ・放射線治療(重粒子、X線、ガンマ線など) ・内分泌療法(ホルモン療法) ・化学療法 複数の治療法を組み合わせる場合もあり、PSA値や腫瘍の悪性度(グリソンスコアやT分類)、危険度、年齢、期待する余命、男性機能や性生活への思い・希望、患者の考え方等を基に選択します。 伊勢崎市民病院の説明書によれば、がんが前立腺に留まっていて、根治が期待できる場合には外科治療(摘出手術)と放射線治療が推奨されていて、私の場合もがんが前立腺内に留まっていたため、外科治療(摘出手術)が選択されました。同説明書には、外科治療については「根治的前立腺摘除術」と表記されていますが、がん細胞が生れる臓器自体を摘出してしまうので、「根治的」と呼ばれるのでしょう。患者の立場では、「根治」の用語は安心感を与えてくれます。 前立腺全摘は下図に示すように前立腺と精嚢(せいのう)腺を切除し、尿道を直接膀胱に吻合する手術です。前立腺周囲には排尿や勃起機能などを制御する神経血管束があって、それを温存できるかどうかは手術してみないと分かりません。私の場合どうなったか、手術記録で述べます。 前立腺全摘と尿道吻合(図解)実際の手術名は「ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術」と称し、腹腔鏡手術支援ロボットは「ダ・ヴィンチ®(Da Vinci 、ダビンチ®)」と呼ばれています。 手術方法の詳細は他のウェブサイト等に詳しいのでここでは省略しますが、簡単に言えば、機器が精密な動きや詳細画面を補助し、執刀医がその機器を操作しながら手術する方法で、SF映画のように、ロボット自身が自動で手術を行う訳ではありません。 ダビンチによる手術のメリットは・・・
(*2)私の場合は小さな傷(穴)が5か所、長い傷(3cm程度)が一つでした。詳細は手術日の記録で紹介。 (*3)私の血液型はA(Rh-)なので、大腸がんや右下肢粉砕骨折時など、出血を伴う手術の時は、医師から「Rh-なんですね。でもちゃんと準備したので安心してください」と伝えられました。ただ過去の手術で輸血に至ったことはありません。今回もありませんでした。 デメリットは、患者にとっては明らかなデメリットはなく、執刀医がモニターで3D画像を見続けるので目が疲れることがあるようです。 伊勢崎市民病院では、現在「ダヴィンチXi」と「ダヴィンチX」の2台体制で施術しています。 私の場合、緊張しながら手術室へ案内され、室内の器具や機械、執刀医や麻酔医、看護師さんらを認識する余裕もなく手術台に乗り、間もなく麻酔注射を打たれて眠りに落ちたので、手術室内の記憶は部屋へ入った瞬間のみです。残念ながらダヴィンチや手術台、ほかの様子はイメージさえ浮かびませんので、イラストで紹介することはできません。ただ伊勢崎市民病院のウェブサイトに詳しいので、興味がある方はそちらをご覧ください(→こちら)。 以下、前立腺全摘手術の入院から退院までの記録です。(2024/3/3 記) 2024/1/21(日) 入院日
掲載日:2024/3/6
2024/1/22(月) 手術日。手術からICUへ。
掲載日:2024/3/6
2024/1/23(火) 手術後1日目。ICUから病棟へ、リハビリ開始。
掲載日:2024/3/17
2024/1/24(水) 手術後2日目。骨盤底筋体操開始。
掲載日:2024/3/17
2024/1/25(木) 手術後3日目。術後初めてのシャワー。
掲載日:2024/3/24
2024/1/26(金) 手術後4日目 歩行訓練と骨盤底筋体操
掲載日:2024/3/24
2024/1/27(土) 手術後5日目、尿道カテーテル外れる掲載日:2024/3/30
2024/1/28(日) 手術後6日目・退院日
掲載日:2024/3/30
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手術記録
海綿体神経を温存することは、患者にとって手術後のQOL(Quality of Life)を下げないために非常に重要なことです。この神経を温存できるか否かが手術後の排尿制御や陰茎勃起機能に大きく影響します。 私の場合には、手術前の診察時の説明で、「癌が前立腺内に限局していて、かつロボット支援腹腔鏡下手術で行うので温存できる可能性が高い。ただし、前立腺の片側の悪性度が高いので、そちら側の神経温存は手術してみないと分からない」と説明を受けていて、私としては「全てお医者様任せ、ダビンチ様任せ、神様任せ」の心境で望みました。 幸いにも、両側の神経を温存してくれたとのことで、この上なく安心しています。別項「7.手術後の経過」で詳述しますが、排尿制御に関しては、骨盤底筋体操の効果もあったかとは思いますが、手術後一か月と少しの期間でクシャミなどの瞬間的衝撃が加わる時を除き、制御できるようになりました。一般的には前立腺全摘患者の場合、排尿を制御できるまでの期間は3~6か月とされていますので、相当に早い回復でした。 ただ神経質な私は、再発を防ぐためには神経も切除した方が良かったのだろうかと、今後の心配も残しています。 摘出標本病理所見
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下表は、手術当日からの痛みの記録です。痛みを表す方法として、 痛みのMaxを 10、痛みなしを 0 としました。 手術創(手術の傷のこと) と尿道、肛門周辺の痛みを比較すると次のようでした。 ■当初の痛みが強かった順序 ・・・ 手術創> 肛門周辺 > 尿道 ■痛みが消えた順序 ・・・ 手術創 → 尿道 → 肛門周辺 手術後、最も痛かった手術創の痛みが最も早く消えたことは予想外でしたが、手術創はロボット支援腹腔鏡下手術のため、お腹に開いた全6か所の創のうち、臍の上の創を除く5か所はカメラや器具類を挿入する穴(10mm程度)だったので、治りが早かったと考えています。 尿道カテーテルが外れてから一週間以内は、尿に血糊が混じり、血尿も出ましたが、カテーテルが尿道を傷つけた出血や、尿道を膀胱に縫合した時の出血等だろうと予想しました。 肛門周辺の痛みは、前立腺が直腸の隣の臓器であり、前立腺が摘出されたことから、周辺が落ち着くまで痛みを伴うのだろうと考えました。 退院時に「退院後、出血が多かったり、強い痛みが続いたらすぐに病院へ連絡してください」と説明を受けていましたが、いずれもその範囲ではないだろうと様子を見ているうちに、それぞれが治まりました。(2024/4/15 記) 【表中の注記】 ■:血糊、▲:血尿 |
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1月 | 2月 | ||||||||||||||||||||||||||||||
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | ||
尿道の管 | 静止 | 5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
●尿道の管が外れる | ||||||||||||||||||||||||
座る | 7 |
8 |
9 |
10 |
10 |
●尿道の管が外れる | |||||||||||||||||||||||||
尿道 | 静止 | 3 |
3 |
3 |
4 |
4 |
4 |
4 |
5 |
5 |
5 |
4 |
4 |
4 |
5 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 | ||
排尿 | 尿道の管挿入 | 5 |
■ 6 |
▲ 7 |
▲ 7 |
6 |
▲ ■ 5 |
5 |
▲ 5 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
3 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
|||||
肛門周辺 | 静止 | 7 |
7 |
7 |
6 |
6 |
5 |
5 |
5 |
4 |
4 |
4 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
排便 | 10 |
10 |
9 |
9 |
9 |
8 |
8 |
7 |
7 |
7 |
7 |
7 |
7 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
|
手術創 | 静止 | 9 |
9 |
8 |
7 |
6 |
6 |
5 |
5 |
4 |
4 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 | |||||||
横向 | 9 |
9 |
8 |
8 |
7 |
6 |
6 |
5 |
4 |
4 |
4 |
4 |
3 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 | ||||||
屈む | 10 |
10 |
9 |
9 |
9 |
8 |
8 |
7 |
6 |
5 |
5 |
4 |
4 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 | ||||||
咳等 | 10 |
10 |
9 |
9 |
9 |
8 |
8 |
7 |
6 |
6 |
5 |
5 |
5 |
4 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
0 |
2月 | 3月 | |||||||||||||||||||||||||||||
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | ||
尿道 | 静止 | |||||||||||||||||||||||||||||
排尿時 | 2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
|
肛門周辺 | 静止 | 1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 | ||||
排便時 | 4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
5 |
5 |
5 |
5 |
5 |
4 |
3月 | 4月 | |||||||||||||||||||||||||||||
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | ||
尿道 | 静止 | |||||||||||||||||||||||||||||
排尿時 | 1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 | ||||||||||||||||||||||||
肛門周辺 | 静止 | |||||||||||||||||||||||||||||
排便時 | 4 |
4 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
3 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
1 |
0 |
前立腺全摘手術の場合、術後の尿漏れは必ず起きるよう。 その期間を制御する要因は・・・ ●手術で、前立腺周囲の神経群をどれだけ温存できたか ●術後のリハビリ(特に骨盤底筋体操)にどれだけ取り組んだか 等が影響するようです。 私の場合、前立腺両側の海綿体神経群を温存していただき(→記事)、骨盤底筋体操(→こちら)は、手術後2日目の1月24日に作業療法士さんから指導を受けて以降、3月下旬までの約2か月間、毎日4~6回行いました。 一般的には尿漏れは3~6か月続くようですが、私の場合は咳やクシャミ等の瞬間的衝撃が加わった時の尿漏れを除くと、3月下旬頃までには制御できるようになりました。術後約2か月です。 【表中の注意】 ・尿漏れパッド使用数:尿漏れパッドは単独使用はできないので、紙オムツ(あるいはブリーフ型パンツ)を履きます。 ・瞬間:クシャミや咳、衝撃的動き |
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1月 | 2月 | ||||||||||||||||||||||
27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | ||
尿漏れパッド使用数 | 記録せず | 5 | 3 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 5 | 5 | 3 | 4 | ||||||
尿 漏 れ |
就寝時 | やや制御 | ほぼ制御 | ||||||||||||||||||||
歩行時 | チョビチョビ | なし | |||||||||||||||||||||
瞬間 | 必ず漏れる | ||||||||||||||||||||||
静か | 時々漏れる | ||||||||||||||||||||||
夜中排尿回数 | 4~5回 | 3回 |
2月 | 3月 | ||||||||||||||||||||||
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||
尿漏れパッド使用数 | 3 | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 2 | 1 | 3 | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
尿 漏 れ |
就寝時 | ほぼ制御 | なし | ||||||||||||||||||||
歩行時 | なし | ||||||||||||||||||||||
瞬間 | 必ず漏れる | ||||||||||||||||||||||
静か | 時々漏れる | ほぼなし | なし | ||||||||||||||||||||
夜中排尿回数 | 3回 | 2~3回 |
3月 | 4月 | ||||||||||||||||||||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 31 | 1 | 2 | ||
尿漏れパッド使用数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | |||||||
尿 漏 れ |
就寝時 | なし | |||||||||||||||||||||
歩行時 | なし | ||||||||||||||||||||||
瞬間 | 必ず漏れる | ||||||||||||||||||||||
静か | なし | ||||||||||||||||||||||
夜中排尿回数 | 2~3回 | 2回 |
【骨盤底筋とは?】骨盤底筋は、骨盤の底にあるハンモック状に広がる筋肉群で、肛門括約筋や尿道括約筋はその一部です(cf.右図)。普段は尿道を締めて尿失禁を防いでいますが、前立腺摘出の影響で筋肉が緩み、手術後、尿道カテーテルを抜去すると尿失禁が起きます。 尿失禁は上記の理由や前立腺摘出時に尿道周辺の神経をどれだけ温存できたか等が影響するようで、平均的に1~3か月、長くて1年程度とのことです。 私の場合も尿道カテーテルを抜去後、尿漏れが始まりました。尿漏れについては別項で述べますが、概略述べますと、手術日から約8週間経過した現在、クシャミ等の瞬間の力が加わった時を除けば、ほぼ収まっています。安全のために、まだ尿漏れパッドは着けていますが、濡れる量は僅かです。 この尿漏れを早めに収めてくれるのが以下に示す”骨盤底筋体操”です。 ウェブサイトにはいくつかの方法が見つかりますが、ここでは、伊勢崎市民病院で指導を受けた方法を紹介します。指導は入院中(術後2日目)に病室で、リハビリテーション科の作業療法士さんから受けました(→cf.入院記録)。 【骨盤底筋体操の手順】①肛門をギュッギュッっと連続して締め付ける。スピードは早め。肛門をすぼめて、体内に引っ込める感じ。・・・これを20回。 ・・・これを20回。 上記①は簡単ですが、②は時間を要します。一日4~6回実行するのは結構面倒臭いですが、尿漏れが続き、尿漏れパッドを使い続けなければならないことを考えると、頑張るしかありません。 私の場合、手術後約8週間で尿漏れがほぼ収まっていることから考えると、尿道周囲の神経群の温存効果もあったかと思いますが、骨盤底筋体操の効果も大きいと考えています。 実行管理は簡単なチェックシート(cf.下表)を作成して行っています。
姿勢は上向きに寝たまま、座りながら、立っている時など、自由です。(2024/3/21 記)。
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入院中、手術直後は手術の傷口が痛く、また両腕に点滴や酸素濃度計測器具、血圧自動測定用注射針、両下肢に血栓防止マッサージ器具等が付いていて、尿道カテーテルの存在は特に意識しませんでしたが、注射針や各器具が徐々に外れ、傷口の痛みも徐々に和らぐにつれて、尿道カテーテルの痛みが気になり始めました。 手術後3日目頃からはこの痛みを強く感じ、入院中の食事は病室でとりましたが、座ると尿道カテーテル周辺が痛くて耐え難く、立って食べていました。 尿道カテーテルはビニールのようなゴムのような製品でしたが、柔軟性がありますが伸縮性はなく、身体や内臓の動きに同期しません。そのため、寝返りや座る時など、尿道付近が移動するたびに強い痛みを感じます。 座ると自分の体重で圧迫し、ベッドや椅子の座面からの反力で圧迫され、伸縮性がないカテーテルが膀胱から尿道一帯に痛みを加えていると考えています。この痛みはほかに表現し難く、多分体験者のみ分かる痛みだと思います。スクワット運動のように、腰を少し浮かして座った姿勢で食べようとしたこともありますが、尿道カテーテルの痛みは減ったものの、持ち堪える筋力が不足していました。 74歳の現在まで、記憶の範囲では、尿道カテーテルを装着したのは次の8回。 1.盲腸摘出手術、2.大動脈カテーテル検査、3.大腸がん手術、4.痔の根治手術、5.右下肢粉砕骨折手術、6.同左チタンプレート除去手術、7.前立腺癌生検、8.今回の前立腺全摘手術。 この回数が平均より多いのか少ないのか分かりませんが(多分多い方?)、内臓と一緒に収縮するカテーテルが発明されれば、手術後の患者の痛みが軽減できると思われます。伸縮性がある柔らかい物質では、尿道挿入時の強度が不足すると考えられますが、その点をクリアした製品に期待したいものです。(2024/3/25 記) |
前立腺がんのため。前立腺を全摘し、周囲のリンパ節を郭清(切除のこと)しましたが、退院時に退院後の注意として説明を受けたのが「リンパ浮腫」。説明書もいただきましたので、要点を下記に示します。なお、国立がん研究センターのウェブサイト(→こちら)などにも掲載されています。リンパ液、リンパ管、リンパ節・人間の全身にはリンパ管が張り巡らされている。・リンパ管の中はリンパ液が流れている。 ・リンパ管は不要な物質を回収する。 ・リンパ管にはところどころにリンパ節がある。 ・リンパ節は不要物質を血液循環に入れないよう関所のような働きをする。 手術でリンパ節を切除すると、リンパ液の流れが悪くなり、皮下がむくむことがあり、これをリンパ浮腫と言う。リンパ浮腫は発症しない人、術後数か月あるいは数年後に発症する人など様々。リンパ浮腫の初期は無痛。多くはゆっくり進行し、皮膚の緊張感・重圧感・しびれ・痛みが起こることがある。 リンパ浮腫は薬や手術では治療困難。 症状が出る前の日常の注意点スキンケア
蜂窩織炎(ほうかしきえん)蜂窩織炎はリンパ浮腫の合併症の1つ。リンパ浮腫は皮膚が傷つき易く、感染しやすい状態になり、リンパ液の流れが悪くなり免疫力が低下する。むくんだ皮膚に炎症が起き、赤い斑点や広範囲に赤くなり、38度以上の高熱や痛みを伴うことがある。この症状が発症したら速やかに担当医に相談する。術後4か月の状況術後4か月が経過しましたが、リンパ浮腫の症状は表れていません。日々の注意点に関しては、毎日の散歩が十分ではありませんが、ほかは概ね守っています。リンパ浮腫の説明によれば、症状が出る期間は数か月後から数年後と広範囲なので、今後も引き続き注意が必要です。(2024/5/31 記) |