いつ頃から緑内障の症状が出たのか自分でも把握していません。視界が徐々にシルクスクリーンがかかったようにかすみ、セピア色の写真のように薄暗く、近くの眼科医にかかったのが2019年12月16日。70歳の時でした。 その日、視力や眼圧、視野検査を行い、処方されたのが白内障と緑内障の点眼液。受診前に情報を集め、周囲の知人らの体験談などを聞き、白内障と診断されることは覚悟していましたが、緑内障も診断されて少し落ち込んだことを覚えています。眼科医にかかるかどうか逡巡していた期間は正確には覚えていませんが、1、2年程度だったような気がします。 視力は子供の頃から自信があって、いつも1.5でした。その代わり老眼が早く、40歳代前半から。以後、視力に関しては老眼鏡さえあれば問題ない程度に考えていましたが、かすみや濁りが入って来て、更に視野が狭くなって来てからは眼鏡では解決できない問題が増えました。 緑内障の主原因は眼圧が高いことで、眼圧が高くなる理由は・・・
これらのうち、私の場合、下記項目が当てはまります。当てはまる項目が多過ぎるのが残念です。
緑内障は進行が進めば失明に至る病気です。過去の本業や生活習慣を今更変えることはできないので、寿命まで視力を失わずに済むように、今後のケアを慎重に行いたいと考えています。(2023/12/30 記) ・緑内障とはどんな病気? 原因、種類、症状について (Medical Note:東京慈恵会医科大学 眼科学講座 主任教授 中野 匡 先生) 点眼液の経緯■白内障治療当初:カリーユニ点眼液0.005%(2019/12/16~) その後:ピレノキシン点眼液0.005% ■緑内障(眼圧を下げ緑内障の治療をする) 当初:ラタノプロスト点眼液0.005%(2019/12/16~) その後:プリンゾラミド点眼液1%(2020/4/10~) チモロール点眼液0.5%(2020/11/9~) アイベータ配合点眼液(2021/12/2~) アイラミド配合懸濁性点眼液(2022/5/21~) ラタチモ配合点眼液(2023/2/20~) 眼圧の経緯点眼液で治療中(検査方法:風を当てる方法)右目:14~18 左目:18~28。一度だけ14。大概20超え。入院後、手術直前には30超えだったこともあり。 緑内障手術後(検査方法:精密眼圧検査(事前に麻酔液を点し、眼圧検査機械で計測)) 左目:術後1日目=2、術後2日目以降、退院後外来診察時=10~14(詳しくは後日「退院後の経緯」で記載) 手術日■白内障手術右目:2022年5月18日 左目:2022年5月25日 ■緑内障手術 左目:2023年12月12日 |
緑内障の症状や手術の目的、手術方法については、いくつかの医療関係ウェブサイトに詳しいので、ここでの説明は省略します。下記にいくつかのウェブサイトを紹介しておきます。 ・緑内障手術(医療法人社団 医新会) ・緑内障の手術-手術方法から手術時間まで(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学 教授 相原 一 先生) ・緑内障の手術が必要な人とは?手術内容・注意点・合併症を説明(健達ねっと) 私が受けた手術は線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)(濾過手術法の一つ)で、医療機関は群大病院眼科(→ウェブサイト)。 線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)とは・・・(以下は手術前に群大病院から渡された「緑内障手術について」ほか、いくつかのウェブサイトを参照しました)・緑内障手術の代表的術式。治療効果が高く、ほとんどすべての緑内障タイプに適用できる。 ・結膜(白めの表面の薄い膜)を切って、角膜(黒目)と強膜(白目)の境界に強膜弁をつくり、そこから眼内の房水(目の中で生成された水)を眼外に導くバイパス(孔)をつくる。眼外に導かれた房水は濾過胞(水たまり)に溜まる。 ・強膜弁をつくるだけでは房水が眼外に流れ過ぎて低眼圧(目に張りがない状態)になるため、強膜弁を糸で縫合して手術を終え、手術後の外来診察でその糸を切って房水の流れや眼圧を調整する。 ・濾過胞は人工的に作成するもので構造的に弱く、稀に細菌が眼内に入り感染症を起こすことがあるので手術後の入念なケアが重要。 手術当日の様子は、当ページ内「手術入院」の12月12日に記録しましたが、手術台に横たわる前に上述の手術内容は把握していながらも、結膜の切除や強膜弁の処置、糸で縫合する各ステップを理解する間もなく手術が終わりました。 |
以下は、緑内障手術のために入院した2023年12月11日~12月17日の7日間の入院生活記録です。12月11日(月:入院日)
院内のネット環境入院中は無為に過ごす時間が多いです。やるべきことが多いのに時間が足りない状況に比べたら贅沢な話ですが、普段の自分の生活環境じゃない場所で、行動範囲も病室と診察室、トイレ、食堂程度なので、時間を持て余します。今回は、mobile wifi と iPadを持参したので、スマホよりは退屈しのぎになりますが、NHK+を設定して来るのを忘れたので、朝ドラは見られません(テレビカードを購入すればいいのですが、入院したばかりでまだテレビカードを未購入)。テレビは最近リアルタイムでは見ていないので、ネット環境とモニターさえあれば間に合うのですが、病院では自宅の環境レベルは期待できません。 院内の生活環境病院は怪我や病気を治療する場所ですが、患者にとっては病院で過ごす日々も生活の一部。できるだけ快適に気持ちよく過ごしたいものです。一週間以上の入院は、45歳以降、今回で6回目。病院差はありますが、病室や食事、院内アメニティ、院内店舗など、概して向上していて、治療の心の重さが軽減されます。本当は病院の世話にはならない方がいいので、居心地良くするのも程度問題でしょうが。12月12日(火:手術日)
手術順番は一番目今日の朝一番で手術を受けました。今日の眼科の手術予定者は20人を超えていたようですが、私は何と一番目でした。手術室は3階と4階に何部屋かあるとのことですが、それでも遅い人は夕方になってしまうようです。遅い時間まで不安な気持ちで待機しているより、早めにしてもらいたいと思っていたので、幸運でした。12月13日(水:術後1日目)
手術は?手術は無事に終えました。朝8時半に手術室に入り、9時20分には退室。その間、50分。麻酔は目だけなので、執刀医の先生方と手術室付き看護師さんとの会話も聞き取れ、穏やかな雰囲気で進めてくれていたので、当方も安心してお任せできました。手術台に横たわりながら、受ける側も大変ながら、医療従事者はもっと大変だろうと感謝の思いを巡らせていました。手術後手術室から病室までは病棟看護師さんが車椅子で連れてきてくれ、以後、ベッドで安静。手術中に行政関係の電話が2通入っていましたが、すぐに対応する気力もなく、一人には簡単なメール、もう一人には午後に電話して取り敢えず急場をしのぎました。安静と言っても、ずっと寝ているのも疲れるので、寝たり起きたり、トイレに行ったり。楽しみは一日3回の食事です。いつも美味しくいただいていますが、量がちょっと少ない。健康のためにはちょうどいいのでしょう。 術後1日目の今日、朝7時前に眼帯を外していただき、サッパリ( ^o^)。包帯を外した後は、保護メガネを着用。白内障手術時に購入した保護メガネが使えました。 術後最初の診察で、眼圧は?術後、最初の診察では、精密眼圧検査の結果が、何と2。今まで3年間、眼圧を下げる点眼液を差し続けながらも、20以下になることはあまりなく、今回の手術決定も、眼圧がなかなか下がらず、視野も狭くなってきたことで踏み切った訳ですが、こんなに極端に下がるとは予想外でした。下がり過ぎると房水が出過ぎてしまう懸念がありますが、今の所、それも大丈夫そうなので、様子見となりました。 視野が霞んでいるのは術後間もないこと、目にゴミが入ったような異物感は糸が入っているので仕方ないことのよう。とにかく眼圧が大きく下がったことは喜ばしいことと思います。 緑内障は、術後もあれこれと調整が必要なようなので、長いスタンスで経過を見ることになりそうです。 術後の痛み昨日の朝一で手術を受けたあと、昼過ぎ頃から目に痛みが出て来て(多分、麻酔が切れて来たためでしょう)、そのまま痛みが強くなると心配なので看護師さんに相談したところ、医師からロキソプロフェンとレパミピドを処方してもらいました。痛みが強まったら服用しようと思っていたところ、我慢できる範囲に留まり、飲まずに済みました。薬は飲まずに済むならば、飲まないように心がけています。 |
緑内障手術を受ける前に、医師から資料をもとに詳しい説明があります。その中で最も印象深く残っている説明が緑内障手術は治すための手術ではなく進行を止める手術であると言うこと。過去に受けた手術には盲腸摘出、大腸がんのS条結腸一部切除、痔の根治手術、右下肢粉砕骨折の治療がありますが、これらは全て”治すため”でした。 目の治療に関しても、2022年5月に受けた白内障手術では、それ以前のシルクスクリーン越しに見るようなセピア色の暗い世界が、一挙に明るくハッキリ見えるようになり、緑内障に関しても期待はあったので、この説明を聞いた時には戸惑いと落胆がありました。更に、 ■手術自体が眼にとっては刺激になるので視機能が一旦下がること、■手術後も進行が抑制できる保証はなく、進行の抑制が一部に留まる場合、あるいは全く進行を抑制できない場合もあり、■どの経過を辿るか、手術をしてみないと不明であることを説明され、戸惑いと落胆に不安が加わりました。 これらの説明では、患者の立場として手術する意味がなさそうですが、手術を受けずに、眼圧制御ができず、視野の悪化が止まらない場合には、生活に不自由が生じ、失明に至る危険があります。 右図は群大病院から受け取った説明資料内の挿入図を元に書き起こしたものですが、この図が以上の内容を的確に説明しています。 放置して失明の不安を抱えて過ごすか、手術を受けて進行を止められる可能性に賭けるか、重要な二者選択です。 結果的に手術を選択しましたが、手術後も更に不安は残ります。それは・・・
・他に抱えている目の病気や角膜の細胞数など、様々な条件が影響し、経過によっては追加手術が必要になる可能性があること。 最終的には失明の可能性がありますが、悪化しても、寿命まで持ち堪えてくれればいいと言う考え方が、緑内障患者の心構えのようです。 |
退院後の外来受診退院後初回:2023/12/21(強膜弁を縫合した糸を切る(1回目))退院後2回目:2023/12/28 退院後3回目:2024/1/11(強膜弁を縫合した糸を切る。2回目、3回目(最終)) 退院後4回目:2024/1/18 退院後5回目:2024/2/1(濾過胞再建術(needle法)、1回目) 退院後6回目:2024/2/8 退院後7回目:2024/2/29(濾過胞再建術(needle法)、2回目) 退院後8回目:2024/3/7 退院後9回目:2024/3/21(濾過胞再建術(needle法)、3回目) 退院後10回目:2024/3/28 退院後11回目:2024/4/11 退院後12回目:2024/5/1 退院後13回目:2024/5/29(右目にステロイド注射) 退院後14回目:2024/7/11(抜糸、左目にステロイド注射) 2023年12月21日(木) 退院後最初の外来受診
2023年12月28日(木) 退院後2回目の外来受診
2024年1月11日(木) 退院後3回目の外来受診
2024年1月18日(木) 退院後4回目の外来受診
2024年2月1日(木) 退院後5回目の外来受診
2024年2月8日(木) 退院後6回目の外来受診
2024年2月29日(木) 退院後7回目の外来受診
2024年3月7日(木) 退院後8回目の外来受診
2024年3月21日(木) 退院後9回目の外来受診
2024年3月28日(木) 退院後10回目の外来受診
2024年4月11日(木) 退院後11回目の外来受診
2024年5月1日(水) 退院後12回目の外来受診
2024年5月29日(水) 退院後13回目の外来受診
2024年7月11日(水) 退院後14回目の外来受診
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緑内障手術(濾過胞再建術(needle法))【手術の目的】緑内障手術(濾過手術)で作成した房水の通り道が閉塞(癒着)し、眼圧が上昇してしまった場合、癒着を解除して、眼圧を下げる。 【手術の内容】 結膜に針を刺して、麻酔を注入した後、結膜と強膜の間の癒着を針で解除する。さらに強膜弁の癒着も針で解除し、房水の流れを促す。房水の漏れ具合を確認し、針を抜いて最後に結膜を縫合して終了する。 【手術の流れ】 手術前に点眼液の麻酔液を数分空けて3回点す。手術室(処置室)に入り手術用椅子に座る。椅子が斜め仰向けに倒れる。目の周囲を保護するなどの処置を行い、注射による局所麻酔を行う。上記の手術を行う。術後、麻酔薬や感染予防薬の点眼で目の中と周囲が少しべとつくので、「アイ浄綿」を渡されるので、適宜拭い取る。手術時間は事前の麻酔薬点眼処置や術前の処置等を含めて20分程度。 |