「今日の風景」で紹介した稲束 稲穂のハム。束ねられた稲穂。 (前橋市力丸町) 2010/11/13 |
みなさんは、郊外の水田や畑で、巨大なボンレスハムのような丸い物が転がっているのを見かけたことはありませんか? 時には白や黒のビニールでラップされていますが、直径が1mかあるいはそれ以上ある大きな丸い束です。
当サイトの「今日の風景」でも何度か紹介したことがあり、それが稲か麦の藁を束ねたものであることは知っていたのですが、昨年2014年の秋、ついにそのラッピング風景に遭遇しましたので紹介します。 場所は前橋市東上野町、県立前橋産業技術専門校の南、桃の木川の東の水田です。2014年9月14日のことです。 この日、前橋市上泉町方面へサイクリングに出かけた帰り道、桃の木川堤防上のサイクリングロードを下って来る時に遭遇しました。(2015/3/22 記)→下へ続く |
この丸い束、一体何なのか調べてみると、どうやら牛の餌とするために稲をロール状に巻いたもののようで、白いビニールで巻くのが一般的のようです。正式には「稲発酵粗飼料」or「稲ホールクロップサイレージ」と称し、「稲WCS(Whole Crop Silage)」と略すとのこと。この日、堤防上から眺める稲は緑色で、まだ収穫には早い時期なのに、コンバインのような刈り取り機でどんどん刈り取って行きます。 「収穫前なのに何で?青い内に食べる?減反対策として廃棄?それならば何でここまで育てた?」 と脳味噌の中が疑問符だらけでしたが、調べると、稲発酵粗飼料は、水稲を出穂期以降に収穫してロール状に梱包し、ビニールでラップし、稲に付着している乳酸菌により発酵させ牛の餌とするもので、米を収穫するのではないとのこと。牛にとっても良質な飼料として注目されているようです。 以下、稲発酵粗飼料用稲の刈り取り~ラッピング風景です。 なお、稲発酵粗飼料向け品種は「クサノホシ」や「ホシアオバ」などの品種があるようですが、この日見学した品種が何であったか確認していません。3つの農業機械がロボットのように動き回る風景に夢中になってしまい、稲の品種まで気が回りませんでした。(2015/3/22 記) |
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稲発酵粗飼料用稲の刈り取り~ラッピング風景。後方の田んぼは既に作業を終えています。右後方には赤城山。 2014/9/14 |
走行しながら、ダダダダダーッと稲を数列一辺に刈り取り、機械の中で自動的に丸く束ね、後ろの出口からポトンと落とします。まるで稲をムシャムシャと食べて、お尻から巨大なウ○チを排泄するかのようです。例えが幼稚でスミマセン。赤ちゃんを産み落とすと言った方が綺麗でした(^^;)。ずっと見ていても飽きません。 | ||
稲をむしゃむしゃと食べるように刈り取ります。2014/9/14 ポトンと後ろに転がりました。まるで出産のようです。 |
丸い束が出てきました ラッピング機械の到着を待ちます。 |
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束を落とした後も、コンバインはどんどん先へ進みます。2014/9/14 |
コンバインが落とした稲束は、ラッピング機械の到着を待ちます。機械の前に付いた大きなアームですくい上げ、運転席横から送り出される白いビニールでクルクルとラップして密封します。密封することにより、中で乳酸発酵が始まり、甘酸っぱい臭いのする飼料になるようです。 | ||
稲束に到着 |
大きな口でパクリ |
持ち上げました |
稲束がクルクルと回り始め、 ビニールが巻かれます。 2014/9/14 |
稲がビニールで覆われつつあります |
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一回り完了 |
でも、まだグルグルと |
何重にも巻きます 2014/9/14 |
ラッピングほぼ完了 |
完了して機械の前に落とします 機械がバック |
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次のロールに近づき・・・ |
すくいあげます。 |
すくいました。2014/9/14 |
ラッピングが始まります。 2014/9/14 |
ラッピングが進みます。後方では一回りしたコンバインが通過。 |
白いビニールでラッピングされたロール状の稲束は、水田のそこかしこに置かれています。これを拾い集めるのがロール運搬機。2つのロールを縦に並べてから、一辺に2つ運んでいます。 | ||
2つ目を置きます。2014/9/14 |
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一つ拾い上げました |
バックして・・・ |
くるりと回って2つを縦置きし・・・ |
2つまとめて運搬します。 2014/9/14 |
運搬先は田んぼの隅。 2014/9/14 |
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3つの農業機械が休むことなく動き回り、稲田が見る見る刈り取られ、ロール状になった稲束が 田んぼの隅に積み置きされます。後方には赤城山がたおやかに横たわっています。2014/9/14 |
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3つの農業機械がそれぞれの作業を分担し、同時に動き回ります。ラッピング機械は自分でも運搬。2014/9/14 隣の田んぼには作業を完了した稲束が積み置かれています。 2014/9/14 |
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ずっと長時間見学した気分でしたが、デジカメの記録を見るとたったの11分。この間、一つの稲田が見る見る刈り取られ、ロール状になった稲束は白いビニールでラップされ、次々に拾い集められて田んぼの隅に積み置きされました。 稲発酵粗飼料は牛の餌としても良質であるとのこと。今後、稲田脇を通る時には、食用の米なのか、飼料用米なのか、新たな関心を持って眺めたいと思います。(2015/3/22 記) |