2008年11月、伊勢崎市庁舎・東館が完成し、本庁舎では各部署の大移動があり、2009年の年明け
から、空いた本庁舎の1階と東半分で耐震補強工事が始まりました。 本庁舎の耐震補強工事は下記の2期に分けて行われます。 第1期:本庁舎1階及び東半分の区域(平成20年度〜平成21年度施工) 第2期:本庁舎西半分の区域及び議会棟(平成22年度施工)(議会棟改修については平成22年度中のおおむね5ヶ月間を費やして集中的に行う。) 当サイトでは、伊勢崎市役所からの情報提供のご協力を得ながら、補強工事完了までの様子をお伝えして参ります。サイト訪問者の皆さんのご意見や情報提供などございましたら、[伊勢崎のコトなら何でも]の掲示板からお寄せください。適宜、当ページに反映させていただきます。予定工期は2011年2月28日です。(2009/1/10 記) |
2009/5/14 第1期工事・内部工事の状況 |
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前回の第1弾・建物外回りの状況に続き、第2弾の報告として建物内部工事の状況を紹介します。 第1弾で概略紹介しましたが、構造物が地震時に水平荷重を受けて破壊するとき、「せん断破壊」と「曲げ破壊」と言う挙動形態で破壊しますが、せん断破壊は曲げ破壊に比べて鉛直荷重に対して弱く、せん断破壊が発生すると一挙に構造物の機能を失う場合が多く発生します。そのため、耐震補強の場合、せん断破壊が曲げ破壊に先行しないように補強することが重要で、そのためには、耐力壁(せん断壁)を設けることが効果的です。 梁や柱等の水平・鉛直方向の骨組部材だけで水平力に抵抗するのでなく、壁面内のせん断抵抗力で抵抗しようと言う発想です。 何やら難しい構造力学の話になりましたが、図示すれば感覚的にも分かり易い話です。 右図Aのように柱の間に何の部材もない構造の場合、頂部に水平荷重を受けると横方向にズレ安いですが、これを図Bのように斜めの部材(ブレースと呼びます)を組むと、斜め部材が有効に働いてズレ難くなります。 斜め部材を図Cのように組むと、中央部に開口部等を設けることもできます。 市役所本館の耐力壁は、RC構造の耐力壁と上図のようなH型鋼を用いた鉄骨ブレースの耐力壁との2種類が設置されています。(2009/5/26 記) |
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↑ 南側の壁に組み込まれた 鉄骨ブレース ↓ 鉄骨ブレースの周囲はモルタルを充填 モルタル打設時に、モルタル内の空気や余分な水分をこのチューブから吐き出し 床で組み立てた鉄骨ブレース |
部屋の中間間に組み込まれた 鉄骨ブレース ブレース部材をHTB(*)で接合 (*)ハイテンボルト(高力ボルト) ↑ RC耐震壁 ↓ このRC耐震壁には開口部があります |
RC耐震壁の周囲に配する らせん状鉄筋 場所場所に、適宜張られた補強概要 北館と東館への案内 ↑ 1階の元・市民課フロア ↓ 元・地下食堂 |
2009/5/14 第1期工事・外回りの状況 |
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2009/5/14、本庁舎の第1期耐震補強工事の現場を見学させていただきました。 まず第1弾の報告として建物外回りの様子を紹介します。 と、その前に、ワンポイントメモ・・・ RC(鉄筋コンクリート)製の橋梁や建築構造物が過去の大地震で被害を受け、日本道路協会や土木学会、日本建築学会、またJRや各道路関連の公団では調査研究の結果、種々の耐震診断や補強工法を示して来ました。 それらの詳細は専門家達でも難解な分野ですが、破壊形態については共通する見解があります。それは、構造物が地震荷重などで破壊する場合、その破壊状況により「せん断破壊」と「曲げ破壊」に大別されると言うことです。 これを主要構造部材である梁と柱に分けて図示すると右図のようになります。 現実には、これらの挙動が複合して破壊しますが、過去の被害写真などを見ると、全くこの図の通りに破壊している例も見られます。 「せん断破壊」と「曲げ破壊」と言うと、何やら難しそうですが、構造力学の初歩で学ぶ「せん断力」と「曲げモーメント」がそれぞれの部材耐力(曲げ耐力、せん断耐力)を超えた時に破壊すると言うことです。 補強方法に関しては、部材断面の耐力増強(断面アップや鉄筋追加)や耐震壁の設置、柱部材や斜め部材(ブレース部材と言います)の追加など、種々の方法があります。橋脚などでは、周囲を鋼板でグルリと巻く方法などもあります。 今回の市庁舎の補強方法では、これらの方法が随所に使用されています。(2009/5/21 記) |
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第1期補強工事中の市庁舎全景(東館の駐車場から) 2009/5/14 |
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南側のバルコニー現況 支えているのは片持ち梁 2009/5/14 各フロア貫通のダクトスペース (普段は目にすることのない場所です) 2009/5/14 2階北側にあった外壁が撤去されています。中央左が元の通路部分 2009/5/14 3階北側の外壁が撤去されています。天井(バルコニー)の片持ち梁の付け根の軸方向梁には、既にたくさんのアンカー鉄筋が埋め込まれています。 後方の白い建物:東館 左に少し見えている青い建物:北館 2009/5/14 |
外回りの梁にアンカー鉄筋を埋め込むため、ドリルで穴を開けています。 粉塵が舞う上向き姿勢なので、 難しい作業です。 る2009/5/14 本庁舎通路脇の柱に カプセル方式の接着剤(↓の画像)と アンカー鉄筋を埋め込んでいます。 2009/5/14 カプセル方式の接着剤 アンカー鉄筋を埋め込むために開けた穴の中に、鉄筋を埋め込む前にこのカプセルを挿入します。内部でカプセルが溶けて接着剤が流れ出し、鉄筋とコンクリートが付着します。 2009/5/14 アンカー鉄筋が埋め込まれた 張り出し部の天井 2009/5/14 |
↑ 1階の北側 この場所から西側のピロティ部分 (議会棟との間の吹き抜け通路) にかけては、耐震壁が設置されます。 この画像は、その基礎を施工するために地盤を掘削しているところです。 ↓ 柱や耐震壁の基礎工設置のために 地盤を掘削整地しています。 2009/5/14 |
2009/1/21 工事直前の各フロアや部屋、設備の風景 |
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応接 秘書課事務室 事務室 事務室 5F会議室 天井に残る木目の跡。 型枠が木製であったことが 歴然として分かります。 天井の配線用下地処理。 空き缶等を舟型の埋め殺し型枠として成型して利用。光るアイディア! 北館への通路も塞がれました。 |
市長室 大会議室 事務室 事務室 事務室 事務室通路 工事中の通路用の間仕切り工事 1階、職員さんのロッカー室 |
副市長室 窓の外では足場工事 3F廊下 3F廊下から東館側 ↑建物のジョイント部(天井) 建物のジョイント部も 普段はなかなか気が付きません。 ↓建物のジョイント部(床) ↑ 1階ホール ↓ 天井に灯り取りの窓があったこと 今更ながらに気が付きます。 |
2009/1/21 工事直前の外回り |
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1階ピロティと地下食堂 地下食堂 地下食堂。奥が厨房。 地下食堂。壁には大谷石。 |
1階ピロティ部分
1階ピロティ部分 |
今回の工事箇所を南西側から。 5階の通路 |
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2009/1/9 |
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本庁舎1階の東側に立てられた足場 本庁舎1階の西側に立てられた足場 |
解体で発生したコンクリートガラ |
地下解体 地下解体 |
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改修前の本庁舎 2008/10/24 |
1.対象工事 (1)工事名:伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修工事 (2)工事場所:伊勢崎市今泉町二丁目410番地 (3)工事概要
(4)工種:建築一式工事 (5)予定工期:平成20年9月から平成23年2月まで 2.工事の施工方式 特定建設工事共同企業体(以下「共同企業体」という。)とする。 なお、共同企業体名は、「社名・社名・社名伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修工事特定建設工事共同企業体」とする。 (以下省略) | ||||||||||||||||||||||
予算課 | 摘 要 | 業 者 名 | 契約額 (税込み) |
工期 |
行政課 | 伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修工事(本体) | トーモー・栗原・木村伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修工事特定建設工事共同企業体 | 1,270,500,000 | H23/2/28 |
行政課 | 伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修機械設備工事 | 中西工業・小倉設備興業伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修機械設備工事特定建設工事共同企業体 | 345,450,000 | H23/2/28 |
行政課 | 伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修電気設備工事 | 杉原・東毛伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修電気設備工事特定建設工事共同企業体 | 180,600,000 | H23/2/28 |
平成20年 第4回 伊勢崎市議会定例会会議録 第5号 第19 議案第137号伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修電気設備工事請負契約の締結について 第20 議案第138号伊勢崎市庁舎耐震補強及び大規模改修機械設備工事請負契約の締結につい 以下、議事録を要約して掲載しました。 【設計から契約に至るまでの経緯】 東館や庁舎耐震補強、大規模改修工事の契約議案については、伊勢崎市庁舎整備計画に基づいている。このうち本庁舎については、耐震補強工事の実施により十分な強度が得られることや、新築する場合に比べコスト面において優れている点等に着目し、耐震補強工事による改修とした。 【設計】 (株)佐藤総合計画、平成19年5月16日付契約、約金額2,982万円、履行期限=平成20年3月14日 設計条件:工事期間中の庁舎利用者の安全性・利便性の確保を図ること及び平成19年5月1日に設置した庁舎整備推進委員会の検討結果を反映すること等。 庁舎整備推進委員会:東館及び本庁舎の整備に関し、円滑な推進を図ることを目的とし、副市長を委員長として9人の部長により構成し、窓口業務に十分なスペースの確保並びに本庁舎、北館及び東館の一体的利用の利便性確保、さらに議会傍聴者の利便性対策等、庁舎の利用者側からの視点に立つことを基本として検討。 【改修工事決定経緯】 東西方向に100メートル以上にわたる庁舎は一つの構造体であり、これを補強し改修することから、一連の工事で実施することに決定。分割発注した場合には、現場事務所や資材置き場等の広大なスペースの確保が必要となり、来庁者用駐車場等が不足する事態を招くことを懸念。特定建設工事共同企業体については、市が発注する大規模で技術難度の高い工事等について、確実かつ円滑な施工を図ることを目的として結成。 【執務室の移動と市民の利便性】 市民の利便性を確保するため、工事期間中の本庁舎機能の分散を最小限にとどめ、本庁舎機能を保持しながら工事を実施。執務室の移動及び工事スケジュール、進捗状況等については、広報、ホームページ等により周知するとともに、来庁者への案内を職員全員で取り組む。 市民課等の窓口担当部署については、極力低層階への配慮を心がけ、税関係証明書の発行については、1カ所の窓口において交付できるよう、新たな窓口を設ける。 【工事スケジュール】 第1期分:平成20年度及び平成21年度施工分 = 本庁舎1階及び東半分の区域。 第2期分:平成22年度施工分 = 本庁舎西半分の区域及び議会棟。 議会棟改修については、平成22年度中のおおむね5カ月間を費やし、集中的に工事を行う。 【市民ニーズへの対応】 約2年5カ月間の施工となるので、この間における社会・経済情勢の変化等の要因や、市民ニーズの変化に伴う要因、さらに施工過程で生ずる要因等に留意しながら、適切に対応。 【施工監理】 設計事務所等のコンサルタントに委託せず、東館と同様に建築課長をリーダーとする建築課の技術職員7名による工事監理体制で行う。 主管課と工事を担当する建築課の連携のもとに、設計者の(株)佐藤総合計画からの助言等を得ながら工事監理を行う。 【共同企業体での工事】 本工事の内容と規模から、市内1者での受注が困難であるとの考え方による。工事規模から構成員数3者の組み合わせとし、参加資格については、本市の建設業者級別格付において、建築一式格付A2者と建築一式格付B1者による共同企業体とした。 |