伊勢崎市に合併する前の旧三郷村に生まれ、幼い頃には、両親が一年に数回営む養蚕を手伝い、縁側の隅に置いた機織り機で、夜なべで伊勢崎銘仙の反物を織る母の姿を見るのが、毎日の夕食後の光景だった私にとって、伊勢崎銘仙のイメージは紺色や茶色が主体の地味な着物でした。 でも、それは母が着ていた着物がそうだっただけで、仕上がった反物はもっと別の色柄だったのかも知れないと、今更確認しようもない遠い昔を、ちょっと残念な気持ちで思い出しています。実際、当サイトで、いせさき明治館の過去の銘仙企画展を紹介する過程で、伊勢崎銘仙が実に華やかで、明るくて大胆で、自由自在な色や柄であることを知り、また東京や大阪では大正・昭和初期時代には「安価な晴れ着、お洒落着」として、日本女性の着物の大半を伊勢崎銘仙が占めたことも知りました。 今では、そう言う伊勢崎銘仙を創り出した当時の流通や産地、その他関係機構のメカニズムに深い関心を抱いていますが、今回は、そんな伊勢崎銘仙を特徴づけた一つである大胆柄を集めた企画展の紹介です。 過去の企画展でもいくつかの大胆柄の銘仙が紹介されましたが、今回は、それら35点を集めた企画展です。既に8月3日に始まっていますが、9月8日まで開催中です。会場は「いせさき明治館」。数日前から猛暑も少し遠のきました。ぶらりと出かけてみてはいかがでしょうか。(2013/8/24 記) 先日、いせさき明治館のKさんが、「ウェブでいい資料を見つけた」と言って、ある論文(*)を紹介してくれました。私も早速に印刷し、読んでみました。伊勢崎人であることに自身が湧く論文です。ウェブ保存期間は未確認ですが、現時点では、下記で閲覧できます。 (*)”1920年代の銘仙市場の拡大と流行伝達の仕組み”,山内雄気氏(一橋大学大学院商学研究科博士課程後期課程) |
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主催:伊勢崎市観光物産協会いせさき明治館入館無料伊勢崎市曲輪(くるわ)町31-4 開館時間=10時〜17時 休館日=月・火曜日 TEL 0270-40-6885 |
玄関を飾る大胆柄の伊勢崎銘仙 |
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玄関室隣の洋間に展示された大胆柄の伊勢崎銘仙 |
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迷路のような複雑な模様 これもまた大胆な波目の柄 |
1階和室を飾る大胆柄伊勢崎銘仙 |
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この不思議な模様 何と大きな井桁模様 |
ガラス戸越しの光が銘仙に似合う |
緻密で実に数多い色を使った伊勢崎銘仙(2階和室に展示) |
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上の銘仙の部分拡大 可愛らしい葉っぱの柄。色調もモダン。 |
シンプルで大胆、歌舞伎の緞帳のような模様。 左の銘仙の部分拡大 大胆な花柄 |
トルコ絨毯のような模様。タペストリーにも良さそう。 |
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上の銘仙の部分拡大 これもまた大胆。ちょっと高貴な雰囲気。 |
部屋の隅に展示されたシンプル柄 ぐっとシックな柄 |
モノトーンなコーナーを照らすような大胆な色柄の伊勢崎銘仙 |
モスグリーンの生地に自由な模様 |
左の銘仙の部分拡大 |
二階の和室を飾る大胆柄・伊勢崎銘仙。まるで絵画展示のよう。 |