■日時:2016年(平成28年)1月21日。午後 ■場所:群馬県繊維工業試験場(桐生市相生町)、大山整経さん(伊勢崎市) ■協力者:群馬県繊維工業試験場(河野 誠司さん、笠原 力さん) 金澤 經明さん(当プロジェクト調整担当)、金井 珠代さん(当プロジェクト責任者)、 金井 正明さん(珠代さんのご主人) 伊勢崎市文化観光課(下城さん、飯島さん) ■内容 2016年1月21日午後、群馬県繊維工業試験場にお邪魔して、当施設で保管されていた緯(よこ)糸巻き機を借用。その後、大山整経さん(伊勢崎市)へ搬入して動作確認。18日の大雪がまだ融け切らぬかつての銘仙生産の主要都市・桐生と伊勢崎との往来です。 この機械、かつては伊勢崎市にもあった群馬県繊維工業試験場で保管していたものを保管していただいたとのこと(*)。桐生と伊勢崎に分かれていた試験場を統合し、現在の繊維工業試験場となったのが昭和52年(1977年)。機械と一緒に保管されていた巻き板を包んでいた新聞紙は、昭和48年(1973年)の上毛新聞でした。これらのことに加え、併用絣の生産の歴史的背景を考慮すると半世紀以上は稼働していなかったと推定できます。 また、この緯(よこ)糸巻き機。ひょっとすると、実際に作動し、現存する唯一の機械かも知れないと言う話題も出ました。 そんな不安を抱きながら繊維工業試験場を後にして伊勢崎の大山整経さんへ。車中、全員の気分は我が子を迎えに行った親の気分。大山整経さんの事務所内に搬入し、早速に各部品の調整に取りかかります。回転部分に潤滑油を注入し、3相200ボルトのコンセントを作り、スイッチの具合を調整するなどして、いざスイッチオン! すると、「カサカサ」っとモーターが回転する気配。静かで頼りない音です。 「お〜〜〜動く!でも板が回転しない!」 「そりゃそうだよ、クラッチが入っていないんだから」と大山さん。一同納得。 更にあれこれと確認し、板を取り付けて、いよいよクラッチをガシャリ。 すると、突然パタパタパタと板が回転し始めました。モーターも先ほどより逞しく感じます。 「お〜、動いた、動いた!奇跡!50年動いていなかったのが動いた!」一同、大感激です。 愛おしく嬉しい感激の瞬間です。 「よく動きましたね〜」と大山さんに問いかけると、 「こう言う機械ものは結構大丈夫なんだよ、今の電子製品はダメだけどね」と冷静な回答。どうやら古いメカニズムが幸いしたようです。 その後、糸巻きテストも無事に完了し、後日、「いせさき明治館」へ移動する運びとなりました。 取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2016/1/26 記
(*)緯(よこ)糸巻き機は緯総絣(よこそうがすり)と併用絣(へいようがすり)でのみ使用されます。緯総絣も併用絣も伊勢崎独自の織り技法。 |
緯糸(よこいと)巻き機、群馬県繊維工業試験場から大山整経さんへ 2016/1/21(4分12秒) 荷積みを終えて群馬県繊維工業試験場を去る緯糸(よこいと)巻き機 2016/1/21 大山整経さんへ到着し、動作確認中の緯糸(よこいと)巻き機 2016/1/21 |