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いせさき併用絣を紡ぐプロジェクト

小池染色有限会社さん訪問

更新日:2017/1/19
■日時:2016年(平成28)年11月14日
■場所:小池染色有限会社さん(*1)
小池染色さんを訪問。今回のプロジェクトでは併用絣の経糸の地色の染色と、「ほぐし」(*2)の緯糸の染色を依頼しました。経糸の地色は薄いアイボリー、「ほぐし」の緯糸は墨黒に染めていただきました。

 伊勢崎銘仙が隆盛を極めた明治後半から大正、昭和初期頃にかけて、伊勢崎市にも多くの染色業があったとのこと。その多くは茂呂地区の北千木町周辺や伊勢崎駅周辺に集まっていたようで、伊勢崎駅南側はかつては「紺屋町」(現大手町)と呼ばれ、その歴史を伝えていました。
 現在は伊勢崎市内で営む染色業はなく、桐生市においても、かつては錦町周辺には数十社の染色業があったものの、現在は数社のみとのこと。このような状況の中で、小池染色さんは現在も営業を続け、訪問日には代表の小池喜一さんと息子さん、お孫さんが忙しそうに作業を行っていました。喜一さんも父親から継いだとのことで、親子四代にわたって継承していることは素晴らしく、この世界における希望的存在です。

 この日、作業中の常温常圧液流染色機高温高圧噴射式染色機脱水機乾燥室などを見せていただき、最後には乾燥後の絹糸を「糸張り」する作業も見せていただきました。「糸張り」とは乾燥した糸を、”かせ”単位で長い丸太棒に引っ掛け、パンッパンッと手前に引っ張って整える作業で、その仕上がりは作業者の手の感覚で決めます。一見誰でもできそうな単純作業のようですが、この調整作業が糸の艶出しを促し、糸口を付けるだけでなく、「糸繰り」以降の後続作業に大きく影響するとのことで、熟練技を要します。染色業においても機械化が進む中で、人間の熟練技に頼る部分が残されていること、改めて織物の深みを知りました。

 今回注文した色決めの打ち合わせ時に、喜一さんが見せてくれた色サンプル帳はまさに小池染色さんの歴史を物語り、台紙は湿気を吸って歪み、長年月の保管でセピア色に変色しているものの、染められた糸のサンプルは過去から現在に至る実際の染め見本が無数に整理され、貴重なデータベースです。同じ染料でも糸の材質によっては微妙に異なる色に染められ、時には、事前打ち合わせ後に染めたものの、仕上がりがイメージと異なるとの理由で納品を断られたこともあったとのことで、業界の厳しい側面も知らされました。

 伊勢崎市だけでなく桐生市においても繊維業は衰退し、現在の顧客は全国区からとのこと。親子四代で継承し、今なお元気に活躍し続ける小池染色さん。今回の当プロジェクトからの注文のような小ロットでも対応してくれます。いつまでも継続し、織物世界の希望をつないで欲しいと願っています。

取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2017/1/19 記

(*1)小池染色有限会社さん
■住所 〒376-0023 桐生市錦町2-6-19
■TEL 0277-44-4410
■代表者 小池 喜一さん
■主要製品 絹糸および化学繊維の染色。
■設立 昭和27年7月

(*2)「ほぐし
 今回の併用絣復活プロジェクトで準備した糸は全24反分。そのうち16反を併用絣に使用し、残る8反は遊び心も加えた別の織り方で仕上げています。「ほぐし」もその一つです。これらの作業は現在進行中で、全て完成した時点で改めて紹介します。

小池染色さんの工場紹介 2016/11/14(1分50秒)

常温常圧液流染色機。大きさの異なる同型機が3台稼働しています。 2016/11/14

常温常圧液流染色機 2016/11/14

高温高圧噴射式染色機。同型機が2台稼働しています。 2016/11/14

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