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機場(はたば)むすめ

掲載日:2025/7/25

機場むすめ 昭和7年(1932年)

 「機場むすめ」は昭和7年(1932年)上毛新聞社・ビクターレコード共催の全国代表民謡で第一位に当選、町田佳聲作曲・四家文子唄でレコードが発売されている。
 昭和9年(1934)3月25日 群馬童謡詩人会創立5周年記念作品発表会でレコード演奏として発表されている。音源は国会図書館の歴史的音源(※)として保存されている。 (銘仙アーカイブスより一部抜粋)


 心乱すな機場のむすめ 乱せば糸さえ切れたがる
 ほんに上州は機の国  かけた思いに身も細る

 好いた情けか流れた夢か 忍ぶ河原の月見草
 ほんに上州は花の国   月の出潮の恋心

 辛い浮世も忘れて暮らす あれは湯の町湯の煙
 ほんに上州はお湯の国  つづらおりゆく汽車の笛

 架けたつり橋涙に揺れる お国境の紅つつじ
 ほんに上州は山の国   時雨過ぎれば気も晴れる

童謡作家 横堀恒子(ツ子) (1907年~1972年)

 1907年に埼玉県児玉郡に生まれ、渋沢栄一の生家で養育され、豊受村の兄の家に移住、豊受小学校、県立桐生女子高等学校を卒業。昭和4年(1929)に三郷村(現波志江町)の横堀慎太郎と結婚し、筆名を横堀恒子とする。

 子どもたちのために多くの美しい童謡を作詞し、子どもたちに夢や希望を与えるその温かい歌詞は、人々の心に残り今でも多くの人々に愛され続けている。童謡「あの子はたあれ」「ちんから峠」の作詞者、細川雄太郎等も指導している。また童謡作家としての活動だけでなく、三郷村の女性村会議員の第一号としても活躍、地域の発展にも尽力した。夫の眞太郎の作曲による「花の幌馬車」を代表曲に、町田佳聲作曲「機場むすめ」など28曲のレコード作品を残している。

横堀恒子の代表的な童謡等の作品

  • 「花の幌馬車」 夫の横堀慎太郎が作曲した曲は、彼女の代表作。
  • 「またあしたね」海沼實が作曲したこの曲は、コロンビア・オーケストラによって演奏されている。
  • 「だるま踊り」 橋爪芳男が作曲し、ビクター児童合唱団が歌った曲。

 著書に民謡集「初島田」童謡集「木馬の夢」句集「葦の芽」等がある。

 童謡集「木馬の夢」の序文で、高橋掬太郎(酒は涙か溜息かの作詞者)は
 「童謡詩人としての横堀さんは、東京の武内俊子(かもめの水兵さんの作詞者)さんと女流の双璧であった。武内さんほど行動が華やかではないが群馬の田舎に住みながらも横堀さんは不断の光彩を放っているのである。横堀さんの作品を見て、いつも感じることは、近頃の多くの童謡や歌謡に見るような、観念の積み木遊びをしていないということである。一作々々に、横堀さんは、児童生活への限りない愛情と真実をこめてうたっている。だから横堀さんの作品はどれをみても光っているのである。詩は真実のなかにあるという私の考え方を、横堀さんはつねに共感していてくれるのである。作品の上に、ちゃんとそれを表していてくれるのである。横堀さんの偉さは、かりそめにも詩心を崩さないところにあると、私はいつも感服しているのである。」
 と記している。

 伊勢崎市立三郷小学校の校歌は、夫の横堀慎太郎が作曲、横堀恒子が作詞したもの。


※「歴史的音源」とは、明治33年(1900)初頭から昭和25年(1950)頃までに国内で製造されたSP盤及び金属盤等に収録された音楽・演説等の音源をいいます。
 著作権・著作隣接権保護期間を満了したものについては、インターネットに公開されていますが、国立国会図書館のデジタルコレクションを図書館配送サービスで公開しており試聴、閲覧することができる。

町田佳聲顕彰会



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