ギンラン発見 [ ぐんま緑の基金・伊勢崎地区 ] [ Home ]




群馬県伊勢崎市で自生する

ギンラン発見 市内4か所目 2021

市内一か所目のキンラン・ギンラン観察記録 → 2020年2019年2018年、2017年2016年2015年
市内2か所目(2018年)市内3か所目(2021年)
キンラン、ギンランについて(是非お読みください)
掲載日:2021/5/14
 つい先日、当ページで、伊勢崎市内で3か所目のギンラン→記事)が見つかったことを伝えましたが、今回、4か所目で見つかりました。連絡をくれたのは市内2か所目の発見地の保全管理をしている友人。その友人の友人らがボランティア活動している花の団体のメンバーが発見したとのこと。
 友人から場所名だけ聞いて取りあえず駆け付け、ギンランが生えていそうな場所の見当をつけて探してみました。ギンランが生えていそうな場所の見当とは・・・
 ●ギンランの栄養源である菌根菌を発生させる樹木(ブナ科のコナラやクヌギ等があること)。
 ●下草が適度に刈り込まれて、日射もあること。
 ●落ち葉や腐葉土が厚く堆積していないこと。落ち葉の厚さは5cm程度、せいぜい7~8cm以内。
 ●人に踏まれていない場所。

 場所を絞り込んだとは言え、とにかく広い敷地なのですぐには見つからず、
 「やっぱり、友人らに案内してもらった方がいいだろうか」
 と思い始めた頃、突然目の前にギンランが現れました。まるで待っていたかのようです。発見者の感動には及ばないとは思いますが、予想した場所にいてくれたことは、嬉しいことでした。
 やがて友人らも到着し、3人で再度丁寧に探してみると、以下の5株を確認できました。
 ■開花中・・・・2株
 ■花芽あり・・・2株
 ■花芽なし・・・1株(この日時点で花芽を確認できなかっただけだと思います)
 全5株が半径1.5m以内に生えていて、ほかの場所では確認できませんでした。

 このギンランを発見した高齢男性によれば、「昔はもっとたくさん咲いていたんだよなぁ」とのことで、2か所目と3か所目の自生地近くに住む年配の方々と同様な記憶です。
 全国で絶滅しつつあるキンランとギンラン。群馬県でも絶滅危惧種IB類(2018年部分改訂版)に指定され、伊勢崎市内で4か所発見されたことは奇跡的なこと。
 「奇跡も4回続くと、奇跡じゃない」
 などと言われそうですが、園芸店の花のように、本人自身がいれば咲く花と異なり、”菌根菌がいること、菌根菌を発生させる樹木があること、本人がいること・・・この三者共生のキンランとギンラン”が自生していることは、そもそもナラやクヌギ林が消滅しつつある現在の伊勢崎市にとって、奇跡的なことと言えるでしょう。

 花の活動団体の皆さんに敬意を表し、また心無い盗掘を避けるため、今回の場所もお伝えすることはできません。情報不足を残念に思う人のためにザックリ言えば、「伊勢崎市の北の方」とだけお伝えします。
 いつの日か、コナラやクヌギ林が増え、下草刈りや樹木・落ち葉が程よく管理され、そこかしこでキンランやギンランが咲き、特に珍しくなくなった場合にはお伝えします。そんな日が来ることを願いつつ・・・。(2021/5/14 記)

開花中のギンラン(1)


コナラ林の木陰で涼しそうに咲くギンラン 2021/5/9


↑のギンランの全体形状 2021/5/9

開花中のギンラン(2)


↑のギンランより花弁の数が多いギンラン、虫に食べられたような花弁もあります。 2021/5/9


↑のギンランの全体形状 2021/5/9

ギンラン発見 市内3か所目 2021

掲載日:2021/5/10 ▲ページTopへ
 群馬県で絶滅危惧種IB類(2018年部分改訂版)(*1)に指定されているキンランとギンラン。平成10年(1998年)、伊勢崎市の某所で茎が確認され、2015年春にはその周辺で約30株の開花を確認。その後、伊勢崎市内の別の場所(市内2か所目)でもキンランとギンランの自生を確認し、それぞれ保護保全活動が行われています。
 一か所目、2か所目共に今年も開花を確認し、現在レポートを作成中ですが、4月27日、2か所目の保全活動をしている友人から、「また別の場所(市内3か所目)でギンランを発見した」と連絡があり、早速に出かけてみました。

 確認できたのは3株。まだ葉と茎が成長中で、花芽らしき膨らみを確認しました。今回、葉と茎の姿からギンランとして紹介しましたが、開花を確認しないとキンランかギンランか特定できませんので、確認できましたら、再度レポートします。
 なお、この場所を管理されている方から、場所は公表しないで欲しいとのことなので、お伝えできません。

 群馬県で絶滅危惧種に指定されているキンランとギンラン。発見場所近くに住む高齢の方の話では、「昔はあちこちで一杯咲いていたんだよ」とのこと。「昔」とは恐らく昭和の中頃までのこと。
 耕地整理が進み、里山が減り、残った里山も下草が伸び、枯葉が堆積し、キンランギンランの栄養源である菌根菌を発生させる樹木が減るなど、生きる場所が徐々に失われて来たキンランとギンラン。彼らが生き続けられると言うことは、自然が守られ、適切に管理されていると言うこと。それは同時に人間にも住み易い環境が守られていると言うことです。私らの環境レベルのリトマス試験紙のようなキンランとギンランの自生確認。今年新たに加わった3ヶ所目についても、見守り続けたいと考えています。(2021/5/10 記)

3株のうちの1株 2021/4/27

3株のうちの1株 2021/4/27

ギンランが発見された現地 2021/4/27




キンラン、ギンランについて

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(*1)群馬県では絶滅危惧種IB類(2018年部分改訂版)に指定されています。


キンラン・ギンランの発芽と生育3条件

 ■キンラン、ギンラン自身の種子があること
 ■ブナ科(コナラなど)の樹木が存在すること
 ■これに共生する菌類(菌根菌。イボタケ科など)が発生していること

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 以下、キンランに関するWikipediaの記事引用です。太字と赤色、下線はサイト管理人・丸男が付記。他の紹介ページにも掲載した内容ですが、重要事項なので当ページにも掲載します

【性質に関して】

 キンランの人工栽培はきわめて難しいことが知られているが、その理由の一つにキンランの菌根への依存性の高さが挙げられる。多くのラン科植物の場合、菌根菌は落ち葉や倒木などを栄養源にして独立生活している腐生菌である。ところがキンランが依存している菌は腐生菌ではなく、樹木の根に外菌根を形成する樹木共生菌である。
<中略>
 外菌根菌の多くは腐生能力を欠き、炭素源を共生相手の樹木から供給されているため、その生存には共生関係を成立させうる特定種の樹木が必要不可欠となる。そのような菌から栄養分を吸収しているキンランは、樹木の作った栄養を、菌を通じて間接的に摂取しながら生きているとも言える。
<中略>
 このような性質から、キンラン属は菌類との共生関係が乱された場合、ただちに枯死することは無いが健全な生長ができなくなり、長期間の生存は難しくなる。自生地からキンランのみを掘って移植した場合、多くの場合は数年以内に枯死する。
<中略>
 現在のところ、一般家庭レベルの技術で共生栽培を成功させる手法は確立されていない

【保全状況】

 元々、日本ではありふれた和ランの一種であったが、1990年代ころから急激に数を減らし、1997年に絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)として掲載された。また、各地の都府県のレッドデータブックでも指定されている。
 同属の白花のギンラン(学名:C. erecta)も同じような場所で同時期に開花するが、近年は雑木林の放置による遷移の進行や開発、それに野生ランブームにかかわる乱獲などによってどちらも減少しているので、並んで咲いているのを見る機会も減りつつある。



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