2008年の6月の中旬、休日のサイクリングの休憩所としている市内のある公園に見慣れない人だかりがありました。 一年を通じてあまり人と会う事の少ないこの公園に「何事か」と思って近付くとカメラマンの集団です。しかもそのカメラはどれも望遠レンズ付きの高級カメラ。 カメラが狙う先を見ればそこには大きな鳥の巣が。この鳥、私も知ってるある貴重な鳥です。 と言いますのは、私の知人の中に「日本野鳥の会」の会員がいて、以前、群馬の谷川連邦の南西の奥地にこの鳥のための定期観測をしていた事があって、その時に詳しい事情を聞いた事があるからです。 以来、この鳥は山奥に営巣するものと認識していたのでまさか伊勢崎市内に営巣するとは予想もしていませんでした。 カメラマンの集団に『野鳥の会』の会員がいるのか尋ねましたが、予想に反して1人もいらっしゃいませんでした。カメラマン仲間の情報網の方が強力なのでしょうか。 |
カメラマンの中にはシャッターチャンスのためにこの場所に10時間も待っている人もいて、その忍耐力には驚くばかりです。何人かのカメラを覗かせていただくと、そこには白い産毛のヒナが二羽じっとしていました。 この日以前に撮影したと言う「これぞ」と言うショットも見せてもらいましたが、ヒナが首と背を伸ばした見事なアップ画像もありました。 |
|
大きな木の枝に作られた巣 |
カメラを据えたまま長時間待っています 立派なカメラ。レンズの先は一点にフォーカス。 |
上の写真から3週間余りが経過し、現地に出掛けて見るとヒナは既に巣立っていました。この日出会ったカメラマンは一人で、桐生市から来たとのこと。林の中のどこかの木の枝で休む鳥の姿を撮影したいとのことでした。 この方(Aさん)に聞いた悲しい話があります。 実は二羽のヒナの内、大きい方の一羽が1週間ほど前に死んでしまったとのこと。原因は青大将に絞め殺されたためのようです。Aさんはたまたまその瞬間に遭遇し、巣から一羽がドサッと落ちて来たので驚いて近くへ寄ってみると既に息絶えていて、その直後に木の上からスルスルと大きな青大将が降りて来たとのことです。親鳥が不在の時の出来事で、しかも巣立つ日の数日前の出来事だったようです。「せっかくここまで育ったのに・・・」と何とも可愛そうな話ですが、これも自然界の厳しい現実なのでしょう。 その数日後、残った小さい方のヒナが無事に巣立ち、この日はそれから3日後で、ヒナ鳥も親鳥もまだこの林の周辺を縄張りにして、たまに巣に戻ってくるようです。 この日、たまたま大枝でエサを啄ばむ巣立ったばかりのひな鳥の姿を撮影しましたのでご覧ください。 ここで出会ったカメラマン達の持っているような望遠レンズもなく、また三脚もなく、ズームを一杯に伸ばして手振れを気にしながらの撮影なのでピントが合っていませんが、取り合えず雰囲気だけでもお伝えできれば幸いです。 このチャンス、今朝ほど出会ったAさんがいれば大いに喜んだろうにと、残念なことでした。 この貴重種の鳥が実は人里でも営巣するのか、あるいは、伊勢崎にもまだこのような自然が残されていると考えるのか、どちらなのでしょう。(2008/7/10 記) |
|
お尻 どうやら獲物は鳥のようです。足が見えます。 |
血のついた獲物の肉が見えます 良く見ると可愛い顔をしています。 この大きさで巣立ち後3日目です。 |
この鳥の名前や場所について、既にご存知の方もいらっしゃることと思いますが、当サイト管理人としてはこの鳥が貴重種であると言う認識から、敢えて明かさないでおきます。 お伝えしたかったのは、当地伊勢崎市にこのような驚くべき自然の営みが行われていると言う素晴らしい事実です。ご存知の方も、そっと見守るだけにしてください。 |