終戦記念日の8月15日(土)、伊勢崎市文化会館小ホールにおいて、戦後70年 平和祈念講演会が開催されました。「伊勢崎空襲を語り継ぐ会」(会長:佐藤好彦さん)主催、「郷土文化研究会連絡協議会」共催です。 講演会は下記3部構成で行われ、 小ホールをほぼ満席にする来場者が、この貴重な催しの一言一句聞き洩らさぬ様子で聞き入っていました。 第1部 講演「伊勢崎空襲の記憶 −あなたは伊勢崎空襲を知っていますか?−」第2部 感想文朗読「市内小学六年生の戦争への思い」第3部 体験談「伊勢崎空襲体験者三名の体験談」●第1部では、会長の佐藤さんから、伊勢崎空襲のあらましや市内に今なお残る痕跡について資料や映像を使用しながら説明。その中で、伊勢崎空襲は8月14日深夜から翌未明にかけての数時間に亘って行われたこと、爆撃はB29爆撃機80余機、主に焼夷弾による爆撃、被害者数は死亡者40名、負傷者165名、罹災者9,516名、罹災戸数2,119戸であること、そして、伊勢崎空襲はまさに終戦の日に行われた日本本土最後の空襲であったことを説明。被爆地は旧伊勢崎市・三郷村・名和村・宮郷村など広範囲にわたり、旧伊勢崎市の焼失範囲については詳しい資料も準備され、それによると、伊勢崎駅南側(現・伊勢崎駅南東西通り。現・大手町と曲輪町)周辺と足利県道(現・焼きそば細野の交差点)から伊勢崎市図書館を結ぶライン、および本光寺周辺(現・三光町と緑町)の3ヶ所が東西方向の飛行コースに沿って焼失し、一帯が焼け野原と化しました。 これら3ヶ所と離れた位置にあった久保田兄弟鉄工所(現・寿町ショッピングモール)も空襲を受けています。不思議なのは中島飛行機(後に富士重工伊勢崎製作所第二工場(現・平和町ショッピングモール)や富士重工伊勢崎工場(現・桐生工業伊勢崎工場))が空襲を受けなかったこと。 また今に残れば間違いなく重要伝統的建造物となり、伊勢崎市の立派な観光名所になったであろう伊勢崎織物会館の重厚な洋館も、この空襲で燃え落ちました。 「何で終戦の日に?」「何で伊勢崎が?」「何で中島飛行機が外され、市街地や郊外が狙われた?」 その謎は被害者側では解明しようもなく、爆撃側のアメリカの軍部資料に頼るしかありませんが、伊勢崎市民として、大いに気になる謎です。 ●第2部は「伊勢崎空襲を語り継ぐ会」が事前に市内の小学校を訪問し、6年生たちに戦争について語り、その感想文を児童自身が朗読した録音を、映像と共に流したものです。戦後70年を迎え、生徒たちの両親も戦争を知らずに育った世代。遠からず、祖父母も戦後生まれになろうとしている現在、戦争を語り伝える重要性を再認識させてくれた内容でした。●第3部では、伊勢崎空襲を実際に体験された三名の方々の話。大手町 鹿子島 保子さん(昭和4年生)(代読 佐藤まゆみさん) 上蓮町 五十嵐 基興さん(昭和9年生) 曲輪町 森村 俊之助さん(昭和8年生) 近所の同級生を爆撃で失った鹿子島さん、物資不足や食糧難、勤労奉仕等の小学生時代を語った五十嵐さん、旧市街地から東村へ疎開した森村さん、淡々と語る口調の中に実体験に基づいた重さが伝わり、戦争体験を聴く機会が消えつつある昨今、戦争体験を記録し、語り継ぐことの大切さと危機感を伝えた内容でした。 ●戦後70年が経過し、戦争の記憶が人々から消え去りつつある現在、世界各地で戦争の危機を感じさせる出来事が起きています。武力紛争の応酬が絶えない国際社会において、そのバランスを保っているのは核兵器を始めとする近代兵器の脅威。第二次世界大戦時の戦争理論は通りません。この状況に対して、世界では核保有の是非が、日本国内においては集団的自衛権の行使容認解釈が論議を呼んでいます。”戦争と平和”、人類に対する永遠のテーマですが、少なくとも敗戦国として一般市民まで巻き込まれて犠牲になった日本人は、その実態を伝える責務があるように思います。戦争の悲惨さを伝えることによって敵意を燃やす人、その反対に、だからこそ戦争反対を訴える人と人それぞれですが、実態を客観的に伝え継ぐことは、全てのケースに対して基本的なことと考えます。 今回の戦後70年 平和祈念講演会は、それらのことを改めて考えさせられた講演会でした。(2015/8/20 記) |
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講演会に先立って、主催者と来賓の皆さんを紹介 |
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(1)主催者の皆さん |
(2)来賓の皆さん |
主催者ご挨拶、来賓ご挨拶 |
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(3)佐藤会長のご挨拶 (5)来賓ご挨拶・群馬県議会議員 臂さん |
(4)来賓ご挨拶・伊勢崎行政県税事務所長 中村さん (6)来賓ご挨拶・伊勢崎市議会議長 野田さん |
第1部 講演「伊勢崎空襲の記憶 |
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第2部 感想文朗読「市内小学六年生の戦争への思い」 |
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第3部 体験談「伊勢崎空襲体験者三名の体験談」 |
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大手町 鹿子島 保子さん(昭和4年生)(代読 佐藤まゆみさん) | |
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曲輪町 森村 俊之助さん(昭和8年生) | |
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曲輪町 森村 俊之助さん(昭和8年生) | |
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会場風景など |
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(22)講演会を終えた、ロビーで語り合う参加者 |
(23)ロビーに掲示された児童感想文 |
伊勢崎空襲で焼失した織物会館(24)伊勢崎空襲で焼失前の伊勢崎織物会館 |
【期日】 2015年8月15日(土) 【開場】 午後1時30分 【開演】 午後2時 【会場】 伊勢崎市文化会館小ホール 【入場料】 無料 【主催】 伊勢崎空襲を語り継ぐ会 【共催】 郷土文化研究会連絡協議会 【後援】 伊勢崎市・伊勢崎市教育委員会・上毛新聞社 【問い合わせ】 佐藤さん(0270-24-1301) |
伊勢崎市文化会館(伊勢崎市昭和町3918) |
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