冬から春先にかけて咲く花の色は黄色が多い。ロウバイ、福寿草、サンシュユ、マンサク、トサミズキ、銀葉アカシア(ミモザ)、菜の花、レンギョウなど、実にたくさんあります。中でも黄色が濃いのがレンギョウ。 ●
実は、レンギョウには若い頃の思い出が詰まっています。40年ほど前の東京の会社に勤務時代、結婚して最初に住んだのが川口市。川口市と言っても駅近くではなく、西川口駅からバスで30分、川口市大字新井宿字上一斗蒔と言う、名前からして田舎の場所。実際もまるで田舎で、家の脇の道は未舗装の農道のようで、車一台がギリギリ通過できる幅です。生活圏は川口よりも鳩ヶ谷市(2011年川口市に合併)で、これがまた坂道や結構な高低差がある小さな街で、川口や蕨まで出かけなくても何でも間に合いました。そんな辺鄙な場所から片道1時間40分かけて、港区芝浦の会社に通っていました。社宅でさえもう少し近くにあったのに、「なんでわざわざ?」ですが、毎日超満員の通勤電車に揺られて、コンクリートジャングルの中で過ごす日々、自然に囲まれたその場所での暮らしは、日々のストレスを解放するに十分な環境でした。結局、家賃が高くて、一年も経たぬ内に家賃がタダ同然の社宅に引っ越してしまったのが情けないような残念なような・・・。 ●
・・・で、レンギョウの思い出と言うのは、この川口市新井宿の木造一戸建てに住んでいた時期、休日の度に出かけた近所の散策でのこと。背中のリュックに飲み物と弁当を詰めて、朝家を出てから一日中付近をぶらり散策です。徒歩なので、一日中歩いても行動範囲はたかが知れていますが、その範囲には住宅は僅かしかなく、窪地の湿地帯や小川あり、高台の神社やお寺さんあり、植木畑や林あり、伊勢崎辺りよりも起伏が多い自然豊かな風景です。 そんな休日の散策で、春の息吹を感じ始める季節、畑の周囲や住宅の生垣で見かけ、鮮やかな黄色が目に焼き付いたのがレンギョウでした。レンギョウの名前を知ったのもこの時が初めてです。 その後社宅で6年間過ごし、郷里伊勢崎へUターンを決めた時、新婚時代の思い出が詰まったこの地が懐かしくて再訪しましたが、6年の間に周辺は大きく様変わりして、当時の面影は消えていました。ただ、レンギョウを見ると、経済的に無理して住んだこの地での暮らしが必ず蘇り、胸のどこかがちょっと切なくなります。(2015/3/30 記) |
北関東道の盛土を彩るレンギョウ |
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40年前に川口市の辺鄙な場所で咲いていたレンギョウに比べると、前橋みなみモール近くの北関東道の盛土で咲くレンギョウは矢鱈に元気で鮮やかで、量もタップリで、昔のちょっとセンチな思い出が金箔に塗り替えられてしまいそうですが、そんなパワフルなレンギョウもまたいいものです。ソメイヨシノ開花前に春を告げるには十分過ぎる春の使者でした。(2015/3/30 記) | |
北関東道の盛土で咲くレンギョウ 2015/3/28 |
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2015/3/28 |
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