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荒船風穴(群馬県下仁田町)

世界遺産・「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成要素

富岡製糸場と絹産業遺産群・Index

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掲載日:2012/7/24 画像下の日付は撮影日

富岡製糸場と絹産業関連施設・視察ツアー 荒船風穴

 標高840mの山岳地の風穴。この自然の冷気メカニズムを利用して蚕種を冷蔵保存し、春、夏、秋の養蚕を可能にし、日本の養蚕業に大きく貢献した先人の知恵に触れる。

荒船風穴位置

下仁田町ふるさとセンター
国道254号から入った所にあります。
2012/7/21


2012/7/21
 7月21日(土)、「富岡製糸場と絹産業関連施設視察ツアー」と称して、伊勢崎市の景観サポータの仲間3人と、荒船風穴、富岡製糸場、高山社跡の3ヶ所を見学して参りました。提案者はサポータのSさんです。
 これらは、伊勢崎市の田島弥平旧宅と併せて、平成24年7月12日、「富岡製糸場と絹産業遺産群」として、文部科学省世界文化遺産特別委員会において、推薦候補として決定された産業遺産です。

 この日、「波志江沼環境ふれあい公園」に集合し、波志江スマートインターから北関東道~上信道を走り、下仁田ICで下車。
 途中、「下仁田町ふるさとセンター」へ立ち寄って展示物の見学や風穴の事前説明などを聞き、国道254号を走り、長野県境の山岳地形を感じ始める頃に群馬県道44号線へ分岐。
 群馬県道44号線は対面交通もできない程の狭い一本道。更に世界遺産候補決定に関連して途中何ヶ所かで道路改良工事が進み、主に谷側の路肩を改良しているので走行注意です。この日は土曜日だったため、たまたま土日に限り工事を休んでいたため通行できたようで、事前確認情報とも異なる状況でした。この記事を読んで「それじゃ私も行ってみよう」と思った方がいましたら、くれぐれも下仁田町か群馬県土木へ事前確認してください。
 下仁田町のHPによれば、見学希望者は神津牧場からのルート(神津牧場駐車場から往復徒歩1時間程度)を薦めています。
 まるで、登山時の林道ドライブ気分でひた走り、現地へ到着すると、現地駐車場には事前にサポータのSさんが依頼していた説明員のHさんが待機していてくれて、全体の説明を聞き、早速に見学開始です。 (2012/7/24 記)

現地駐車場に到着
駐車スペースは車4台程度
2012/7/21

見学前にHさんの説明を聞きます
2012/7/21

現地に立つ説明板
2012/7/21

営業当時の風穴の様子
2012/7/21
 下仁田町教育委員会では、ここに立つ現地案内板と同じ内容のパンフレットを発行しています。
【問い合わせ】
下仁田町教育委員会
〒370-2623 群馬県甘楽郡下仁田町大字下小坂71-1 ふるさとセンター内(文化財保護係) TEL 0274-82-5345

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駐車場から風穴までは徒歩5分。ほんの少し登山気分を味わえます。

風穴入口脇。後方には、当時、
管理小屋が建っていました。
2012/7/21

2012/7/21

最近造られた階段(上から)
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階段(下から) 2012/7/21

階段を下りると更に案内板
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風穴の少し手前の斜面
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いよいよ風穴へ到着

 風穴は全部で3基あり、標高の高い方から順に1号風穴、2号風穴、3号風穴と呼ばれていて、それぞれが山の斜面勾配に応じて少しずつ高低差があります。
 3号風穴の下には温度計が設置され、見れば14度を示しています。この日は、全国的に異常に涼しい日でしたが、それでも真夏に14度は低く、この場所が夏でも冷気が漂う場所だったことが分かります。

風穴に着き、
真っ先に出迎えてくれるのは
3号風穴の石積
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3号風穴の下に設置された温度計
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温度を読めば14度!
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3号風穴の石積と杉木立 み2012/7/21
 下から順に3号風穴、2号風穴、1号風穴と続き、それぞれが少しの隙間(1mほど)で離れています。
 風穴のサイズは、最も大きな2号風穴が長手方向=20.9m、2番目に大きい3号風穴の長手方向=14.5m、最も小さな1号風穴の長手方向=12.7mです。
 「下仁田町ふるさとセンター」には風穴と周囲のジオラマが展示されていて、当時、この風穴の中に建てられていた貯蔵建物が復元されています。残念ながら写真撮影禁止だったので、紹介できませんが、下仁田町のHPには何枚かの当時のモノクロ写真が紹介されています。

左(2号風穴)、右(1号風穴)
2012/7/21

1号風穴の石積
2012/7/21

1号風穴と2号風穴との隙間
2012/7/21

1号風穴。斜面が一部崩壊したとのことで、現在、その修復工事のシートで覆われています。
1号風穴には斜路が残されていましたが、他の2つの風穴では確認できませんでした。
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1号風穴脇の温度計を見ると
大気温度=12.1度ですが、
なんと、風穴内部は1.4度です!
2012/7/21

崖の巨岩がそのまま利用されています。
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2号風穴(手前)と1号風穴(右後方)
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2号風穴の内部
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風穴のメカニズム
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風穴の上の方の自然石
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中央:2号風穴、右:1号風穴の石積み、左に少し見えるのが3号風穴。 2012/7/21


2号風穴全景。壁面の巨岩がそのまま利用され、現在もその姿が残る事から、
これらの岩や石積みがしっかりとかみ合っているかを想像できます。
2012/7/21

2号風穴の石積み
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2号風穴の長手方向の壁。
2012/7/21
 事前情報では、率直に言ってあまり期待していなかったここ「荒船風穴」。
 ところが、現地に立ち、その冷気に身を包まれ、風穴内気温1.4度を確認した時、山岳地の風穴と言う、自然の冷気メカニズムを利用して蚕種を冷蔵保存する事業を産業化した先人の知恵に触れ、事前イメージをはるかに超える感激がありました。

 この日、荒船風穴で事業を営んでいた「春秋館」のこと、また、春秋館と伊勢崎境島村の養蚕農家との縁、藤岡の高山社との関係など、資料やパンフレット、また現地でのHさんの説明などを聞いて知識が深まり、絹産業遺産群に関するいくつかの謎が解けましたが、その詳細はこれらパンフレットや下仁田町や群馬県のHPに委ねるとし、興味関心が湧いた方は、是非一度訪れてみてください。(2012/7/24 記) 




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