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いせさき併用絣を紡ぐプロジェクト

紗張り(しゃばり)

掲載日:2016/3/13
■日時:2016年(平成28年)2月18日ほか
■場所:新井ゆり子さんの紅型(びんがた)工房(伊勢崎市)
■制作者:伊藤正義さん、新井ゆり子さん(→伊藤さんと新井さんのこと
■内容:型紙の紗張り
 紗(しゃ)とは細い糸を格子に編んだ網状のものです。紗張りとは、この紗を型紙に張り付ける作業で、型紙の補強と独立して浮いた図形の位置を固定します。
 今回のプロジェクトで彫った型紙(制作者:伊藤正義さん)の数は下表の通りで、これらに対して紗を張ります。
図案名 経糸用 緯糸用 合計
赤いレンガ造り 4枚 8枚 12枚
ツツジ 6枚 12枚 18枚
時報塔(じほうとう) 4枚 8枚 12枚
合計 14枚 28枚 42枚

 紗と接着剤、および型紙は昔と現在と異なっています。比較を下表に示します。ここで言う「昔」は正確な時代を定義するものではなく、伊勢崎銘仙生産全盛時(大正〜昭和中ごろ)の意味です。それぞれの変遷については未調査です。
図案名 現在
型紙 和紙に柿渋を塗ったもの 洋紙
絹糸 ポリエステル製の糸
接着剤 カシュー
(薄め液:シンナー)
形状 格子の網状
(糸を一本ずつ張った時代もあったとのこと)
格子の網状
(ロール巻き)

 紗張りの手順は下記の通りです。
  1. 型紙にスプレイ糊を噴射して模造紙に貼り付けます。
  2. 「つなぎ」を切り取ります。
     「つなぎ」とは・・・
        独立して浮いた図形は型紙を彫る時点では周囲とつなげて彫ります。これを「つなぎ」と呼んでいます。
  3. 新聞紙に水を噴霧し、手のひらで平らに伸ばします。
  4. 上記新聞紙の上に型紙を置きます。
  5. 型紙に紗をかぶせます。
  6. 今回使用した紗はロール巻きなので、型紙から少し余裕を持った位置で紗を切断。
  7. 接着剤を塗ります。最初に中心から四方に向けて十字状に塗って、型紙全体を押さえます。
  8. 型紙の開いた図形に残ったカシューを空刷毛で除去します。
  9. 同様に他の型紙に紗を張ります。
  10. 塗りは2回。1回目は薄く、2回目は濃く塗ります。
      (紅型の紗張りはこれと逆に1回目は濃く、2回目は薄くとのことです。)
  11. カシューが半乾きの状態で、模造紙を取り除きます。
 上記11の工程においては、浮いて独立した小図形がはがれないよう細心の注意を払いますが、「時報塔」の図案についてはこの小図形が紗にくっ付いておらず、はがれてしまいました。
 小図形のため接着面積が狭いことに加えて、昔と今の材料の差異も原因したようです。昔の型紙は和紙に柿渋を塗ったもの。紗は絹で接着剤は漆。現在は型紙は洋紙で紗はポリエステル、接着剤はカシュー。これらの組み合わせによる接着力が昔に比べて弱かったようです。
 このことは図案選定時からの懸念事項でしたが、 往時の材料が流通していない現在、今後の課題となりました。
 なお、「時報塔(じほうとう)」 については、この後、図案を元に修復しました。

取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2016/2/21 記

型紙の紗張り(4分49秒)


型紙の紗張り(型紙の「つなぎ」の切除)


型紙の紗張り(型紙の上に紗をかぶせます)


型紙の紗張り(1回目の塗り)


型紙の紗張り(2回目の塗り)

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