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「骨太宣言・三本の矢」僕たち牛乳?

掲載日:2015/7/3
 小泉首相は、商品販売の専門家に政治学を教えてもらったと言われている。

 専門家は民衆を4項に分類し、最も多い層にターゲットを絞り、政治活動・宣伝を行うことを小泉候補に伝えた。インスタントラーメンや本、映画の利潤追求の姿勢を政治に生かしたのだ。どういう風に発言すれば、最も多い層に購買され支持されるかと言うことを考え尽くして、「自民党をぶっ潰す。郵政改革を断行する。規制緩和だ」と言い始めた。
 郵政改革?規制緩和?なんだかわからないが、自民党改革とは、すごいことを言うなと、僕は感心した。誰に投票しても変わらない世の中と思っていたので、政治に真摯に興味を持つことはなかったが、小泉首相を改革の人と捉え、何かが起こるかもしれないと期待をもった。そういう、言葉尻に感心し、詳しく調べることなく賛成する層にむけて言葉を発したのである。

販売の為の、4つの層とは。

■TVの発言に従順で、知能の高い層。A層。
■TVの発言に従順で、知能が普通の層。B層。
■TVに懐疑的で、知能が高い層。C層。
■TVに懐疑的で、知能が普通の層。D層。

と区分けした。
 あそこのラーメン美味しいよとTVで流れれば、すぐに行って食べてみたい人と、近くに行けば食べてみたいと思っているB層のことである。その層が、最も人数の多い層である。知能の普通の層とは、知能の低い層を含んでいることを忘れてはいけない。低能で、だましやすい層と思っているのだ。僕は、完璧馬鹿にされていたわけである。

 その層に向かって「自民党をぶっ壊せ」と言うと絶大な効果があった。実際にぶっ壊すつもりはなく、ただ、受け狙いでメディアコンサルタントの教えに従っただけなのだ。(日本の良心的政治姿勢をぶっ壊してしまったが)それからTVに向かって発言するときには台本作者が書いたと思うほど達者に表現した。パフォーマンスで圧倒的に勝利した小泉総理は、のちの政治家に政治コマーシャルの必要性と、政治は経済活動と同じであるという、大きな足跡を残したことになる。

 敗戦し駐留軍がいる今もアメリカの属国の立場である日本は、アメリカに逆らった田中角栄や後の県外移設と言った鳩山由紀夫のように、政治活動から引きはがされることを恐れ、アメリカに従順に行動した。そうすることによって、地位も安定し、収入も増えるシステムが出来上がっていた。アメリカに追随した小泉政治は、日本国民の幸福を考えてはいなかった。アメリカに気に入られることだけを優先事項とした。そうでなくては終身雇用と言うパラダイスな形態を破棄することはなかっただろう。
 かつて、池田内閣時代、下村治と言う経済学者が、所得倍増計画をまとめ、実際に国民は未来を明るくとらえることが出来た時代だった。


 下村治は、何冊か書籍があり、その中でレーガン政権の時代、政治的に最も緊急な事態を、ソビエトの軍事的脅威を差し置いて、貿易赤字が広がるばかりの日本からの輸入超過が一番だと報告している。
 アメリカは赤字解消の為、国を挙げて、日本の黒字潰しにかかった。そうして、小泉首相に、構造改革をやらせ、日本の優秀な商品作りを崩壊させる手順を与えた。生涯雇用や、年功序列が日本の優秀なシステムとアメリカは読んでいた。

 小泉首相が作った規制緩和で、雇用のシステムが変わり、契約社員のシステムが今もって拡散している。アメリカの指示に従った結果である。企業の為のシステムと言われているが、民衆が豊かにならなくて、誰が購買してくれるのだろう。(外国人である、だから、外国向け大企業だけが利潤が出る) 日本国民にとって良い政策とは、とても言えるものでない。

 その後、ポピュラリズムの政治化と言われる大阪の橋本市長は、かつて、弁護士でTV 出演したとき、交通事故で子供を殺した市職員を「弁護士変えて死刑にしろ」と言った。この発言で、僕はこの男の心象をとらえたが、市の職員である既得権者が子殺しと言う大悪を成したのだからと、大衆(B層)は、はっきりと言うべきことを言う人と捉えたのだ。これは弁護士が言う言葉ではないと思う。コメンテーターなら許されるが、司法の代理人である人の言葉ではない。しかし、B層には、彼の強さが伝わった。

 小泉首相にならって、橋本市長はB層に受けることだけを狙った発言を発し続ける。
 その上、市の既得権者攻撃で彼らの賃金を下げ、そのため貧困な大衆は自分たちの時給が安く設定される事態となっても喝采を送り、言葉だけではなく、受け狙いの行動まで起こした。その効果に感服して阿部首相は、発言という問題を、カップめんの販売責任者を説得するなどの企業のコンサルタントである言葉の職人の手にゆだねた。演説台の映像に、水を飲む時間まで記載されているコンサルが描いた紙片が映っていた。発言の趣旨、姿勢、行動をB層が感心するように、演技の講習を受けただろう。
 憲法学者、地方の議会、キリスト教会、弁護士会、元法制局長官などが違憲と詰め寄っても、阿部首相は、彼らにではなく、テレビに向かって何度も「丁寧な説明をする」と言った。丁寧な説明をしていると感じるB層に向かって発言する。
B層は、丁寧に説明する良識ある首相と受け取った。丁寧な説明など一度もしていなくても、丁寧に説明すると言うフレーズだけを受け取ることは彼らにはわかっているのだ。
 良識ある人には、話の意味が通じない所以だが、B層には、未だ4,50%の支持がある。

「日本がどうなってもいいのか、」
「石油が輸入できなくなると国民が凍死する。」
「現在の政治に私には責任があるのだ。」
と、論理的に説明する気がなく、B層に向かって情緒に訴えることを優先する。

 そこで、この政治に反旗を翻すには、B層に考えを変更してもらう手だてを考えなければならない。B層が、事の次第を理解するようにしなければならない。僕は、投票にもいかず、B層の人間だったが、事の次第が、あまりにひどすぎるから考えを変えた。一時、憲法9条が世界遺産の登録の受理だけされたと、数週間前に新聞に出たが、その後メディアはその件を無視し続けている。
 人類は、奴隷制度を生み、その後それは恥ずかしい行いだと改め、植民地政策も、ひどい搾取だと取りやめた。欲望のままなら、そのままでよかっただろうが、社会の理想を信じる人々は行いを改めることが出来た。世界に争い事が無くなることは困難だと思われるが、少なくすることは出来るだろう。戦争の放棄は理想ではあるが、是非に実現させたい理想である。日本は、アメリカの理想主義者と、日本の幾たりかの仲間で憲法を作った。人類の理想を繁栄させたいから作ったのである。
 その後70年戦火に加わることなく、死者を出さない防衛体制を築いた。

 第2次世界大戦でアメリカ軍の調査によると、銃を発射したのは20数%の兵隊だけだったそうだ。その後、訓練の方法をかえて、速射する方法で練習すると、発射数は3倍近く増えた。撃つことなく、正常に帰国した帰還兵と、無理に撃ってしまって自殺に追いこまれた兵士に分かれたのだ。アメリカは海軍・空軍は、コンピューターゲームなので最強と言われているが、陸軍は最弱と言われている。(最強はイスラエル軍)
 それはそうだと思う、大学や保険が無料になるからと兵士になった若者は、日本の若者と同じく、喧嘩が強い男より、女性の気持ちが解る男性数が圧倒的に多い。柔な男が、戦場でバラバラになった血だらけの内臓を見るとどうなるかは、想像がつくだろう。アメリカは、無人機に頼るほど、戦場に人員を送りたくないはずである。
 そこへ、命知らずの国が、僕たちが戦争しますと申し込んだのだから、無条件に喜んでいるはずだ。日本としては、戦争が出来ることが最終目標だから褒美は考えなかっただろうと思う。佐藤首相が、アメリカに尽くして、沖縄を日本国に返還してもらった褒美があったが、安部さんは、戦火を交えることのできる国が理想らしく、褒美の件は考えなかったようだ。


 安部政権は、多分、先のアメリカ訪問で、集団的自衛権の折衝をしたはずだ。
 憲法を変更することは許さないが、そのままでなら、集団的自衛権は許そうと言う結論になったのだろう。アメリカが許せば、数年前に違憲であると言っていた閣僚が合憲だと翻意しても、自己幻滅せずに胸を張っていられる。(恥ずかしいことだ、一生そのことは取り上げられて、この政権でなくなったら、地位ははく奪されるだろう)国民が、銃を持って他国に攻撃をかける。それも、自国の為でなく、勢力の弱ったアメリカの替りに、戦闘行為を行う。戦闘が出来る国が、自立した国と考える政権の面々は、意気揚々と、B層に語りかける。

 中国の脅威、韓国の竹島問題はどうするのだ。今のままの防衛では済まないと。アメリカに許された戦闘行為のことを考えると嬉しくなるのか、彼らは、一様にウキウキとしている。国会中継は、彼らの自信満々の顔を映すが、それは、アメリカに念願の戦闘が出来る国になってもいいと、お許しが出たからである。集団的自衛権が行使できるようなってから、9条を改憲しようと結論しているだろう。

 ナチのようにこっそりうまくやればいい、と言う閣僚。
 デモはテロと同じだと言うかつての防衛大臣。
 地方のことなど考えていなくても、選挙では地方再生にかけているふりのできる政権。

 安保法制が、日本人の安全・安心に寄与すると言いながら、イスラム国の人質を見殺しにしてイスラム国に敵対声明を出し、自国をテロの危険にさらす。
「知能の低いB層様あなた方のおかげで、選挙に勝てました」と、ほくそ笑んでいる。
 何か文句があれば、選挙で落とせばよいと意気込むのは、B層がいつまでも後ろ盾になっていると思いこんでいるからである。いつかは、大衆は目覚めると言うことを想像できないのだ。

近藤蔵人  平成27年6月26日





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